正社員を産休前で辞めたい|短期離職で後悔しない判断基準

窓辺の明るい部屋で机上の仕事用バッグの奥にベビーベッドが見える、産休前の迷いを映す情景 正社員
  1. 冒頭の注意書き
  2. 導入
  3. まず結論
  4. 用語の整理
    1. 産休とは、産前産後休業のこと
    2. 育休とは、育児休業のこと
    3. 退職とは、会社との雇用関係を終えること
    4. 休職や有給休暇との違い
    5. 似ている言葉との違い
  5. 仕組み
    1. 雇用での流れ
    2. 出産手当金の流れ
    3. 育児休業給付の流れ
    4. 社会保険と年金の流れ
    5. どこで認識のずれが起きやすいか
  6. 働き方で何が変わる?
    1. 正社員で見方が変わるポイント
    2. 契約社員や派遣社員で注意したいポイント
    3. パート・アルバイトで変わりやすい部分
    4. 非雇用側で注意したいポイント
    5. 同じ言葉でも意味がずれやすい部分
  7. メリット
    1. 生活面で感じやすいメリット
    2. 仕事面でのメリット
    3. 気持ちの面でのメリット
    4. 産後の働き方を見直しやすい
  8. デメリット/つまずきポイント
    1. 出産手当金や育休給付に影響することがある
    2. 健康保険と年金の切り替えが必要になる
    3. 復職先を失う不安が出やすい
    4. 短期離職として見られる不安がある
    5. 会社や案件で差が出やすい部分
  9. 確認チェックリスト
  10. ケース
    1. Aさん:正社員として産休前に辞めたいと悩んだケース
    2. Bさん:フリーランスとして出産前に仕事を減らしたケース
  11. Q&A
    1. 正社員を産休前で辞めたら出産手当金はもらえないですか?
    2. 産休前に辞めたいけど、短期離職になるのが不安です
    3. 会社や案件によって違う部分はどこですか?
  12. まとめ

冒頭の注意書き

この記事は、正社員を産休前で辞めたいと感じている方に向けた、一般的な情報整理です。

産休、退職、出産手当金、育休給付、社会保険の扱いは、雇用形態や加入状況、退職日、会社の制度によって変わることがあります。

体調の不安が強い場合は、無理に一人で判断せず、医師、会社の人事・総務、健康保険の窓口、ハローワーク、労働局などに確認してみてください。

導入

妊娠中に仕事を続けていると、体調の変化だけでなく、職場への気まずさ、引き継ぎ、産休後の復帰、収入面の不安が重なりやすくなります。

「正社員なのに産休前で辞めたいと思うのは甘えなのかな」

「短期離職になったら後悔するのではないか」

「産休に入る前に退職したら、手当や保険はどうなるのか」

こうした不安が出てくるのは、自然なことです。

特に、正社員として働いている場合は、産休・育休を取る選択肢もあります。

一方で、体調や家庭の事情、職場環境によっては、退職を考えること自体が悪いわけではありません。

大切なのは、感情だけで急いで決めるのではなく、産休前に辞める場合と、産休・育休を取ってから考える場合の違いを整理することです。

この記事では、正社員を産休前で辞めたいと感じたときに、後悔しにくくするための判断基準を、仕組み、働き方の違い、確認ポイントの順に整理します。

まず結論

正社員を産休前で辞めたいときは、すぐに退職を決める前に、まず「体調」「お金」「制度」「復帰の意思」の4つを分けて考えることが大切です。

産休前に退職すると、職場から離れられる安心感がある一方で、出産手当金、育児休業給付、社会保険、復職先などに影響が出ることがあります。

特に確認したいのは、次の3つです。

  • 体調面で、勤務継続が現実的かどうか
  • 産休・育休を取った場合と、退職した場合のお金の違い
  • 退職日によって、出産手当金や社会保険の扱いが変わらないか

「辞めたい」と感じる気持ちだけで自分を責める必要はありません。

ただし、短期離職で後悔しないためには、退職届を出す前に、使える制度と退職後の生活設計を確認してから判断したほうが整理しやすくなります。

用語の整理

正社員を産休前で辞めたいと考えるときは、まず「産休」「育休」「退職」「休職」の違いを整理しておくと、判断しやすくなります。

似た言葉が多いため、混ざったまま考えると、損得や手続きの見通しがずれやすくなります。

産休とは、産前産後休業のこと

産休は、正式には産前産後休業と呼ばれます。

産前休業は、出産予定日の前から一定期間休む制度です。

産後休業は、出産後の体を守るための休業です。

厚生労働省の母性健康管理サイトでは、産前休業は産前6週間、多胎妊娠の場合は14週間、産後は8週間と整理されています。産前休業は本人が請求した場合に対象となり、産後休業は原則として就業させることができない期間とされています。

つまり、産休は「会社の好意」ではなく、働く女性の体を守るための制度です。

正社員だけでなく、パートや派遣社員なども対象になるとされています。

育休とは、育児休業のこと

育休は、子どもを育てるために仕事を休む制度です。

産休が出産前後の体を守る制度であるのに対し、育休は出産後の育児と仕事の両立を支える制度という位置づけです。

育児休業給付は、基本的に育児休業後に職場へ戻ることを前提にした給付とされています。

厚生労働省のQ&Aでは、育児休業の当初からすでに退職を予定している場合は、育児休業給付などの対象にならないと説明されています。

そのため、「産休前に辞めるか」「産休・育休を取ってから考えるか」は、お金の面でも大きな違いが出やすい部分です。

退職とは、会社との雇用関係を終えること

退職は、会社との雇用契約を終えることです。

正社員を産休前で辞める場合、退職日以降はその会社の従業員ではなくなります。

そのため、会社の制度、社会保険、育休、復職先の扱いが変わります。

「もう働けないから辞める」という気持ちが強いときほど、退職日を急いで決めたくなるかもしれません。

ただ、産休前の退職は、退職日が手当や保険の扱いに関係することがあるため、日付の確認がとても大切です。

休職や有給休暇との違い

退職と違い、休職や有給休暇は、会社との雇用関係が続いたまま仕事を休む形です。

会社によっては、妊娠中の体調不良に対して、有給休暇、傷病休職、時短勤務、業務軽減などを相談できる場合があります。

もちろん、制度の有無や条件は会社ごとに異なります。

就業規則、社内規程、人事・総務の案内を確認することで、退職以外の選択肢が見えることもあります。

似ている言葉との違い

産休前に辞めたいと感じたとき、特に混ざりやすいのが「産休」「育休」「退職予定」です。

産休は出産前後の休業です。

育休は出産後の育児のための休業です。

退職予定は、会社を辞める意思や予定がある状態です。

ここが混ざると、「育休を取ってから辞めればいいのでは」と考えやすくなります。

ただし、育児休業給付は職場復帰を前提とした制度とされているため、最初から退職を予定している場合は注意が必要です。

仕組み

正社員を産休前で辞めたいときは、感情の問題だけでなく、制度の流れも見ておく必要があります。

特に関係しやすいのは、産休、出産手当金、育休給付、健康保険、年金です。

雇用での流れ

正社員として会社に在籍している場合、一般的には次のような流れで考えます。

妊娠を会社へ伝える。

産休の時期を確認する。

必要に応じて業務調整や引き継ぎを行う。

産前休業に入る。

出産後、産後休業に入る。

その後、育休を取るか、復職するか、別の働き方を考える。

この流れの途中で「やっぱり辞めたい」と感じることもあります。

その場合、まず確認したいのは、退職日が産休前なのか、産休中なのか、育休中なのかという点です。

退職のタイミングによって、会社との関係、給付、保険料、手続きの流れが変わることがあります。

出産手当金の流れ

出産手当金は、健康保険に加入している人が、出産のために会社を休み、給与を受けられない場合などに関係する給付です。

退職後も出産手当金を受けられる場合がありますが、条件があります。

協会けんぽの説明では、資格喪失日の前日、つまり退職日までに継続して1年以上の被保険者期間があること、資格喪失時に出産手当金を受けているか受ける条件を満たしていることなどが、退職後の継続給付の条件として示されています。退職日に出勤した場合は、退職後の出産手当金を受けられない場合があるとも説明されています。

ここはとても誤解されやすい部分です。

「退職すれば必ずもらえない」とも言い切れません。

反対に、「退職しても必ずもらえる」とも言えません。

加入している健康保険、退職日、勤務状況、給与の支払い状況によって変わるため、退職前に健康保険の窓口へ確認したほうが安心です。

育児休業給付の流れ

育児休業給付は、雇用保険に関係する給付です。

こちらは、産休前に退職する場合、基本的に対象外になる可能性が高くなります。

育休は在籍したまま休業する制度だからです。

また、厚生労働省のQ&Aでは、育児休業の当初から退職を予定している場合、育児休業給付などの対象にならないとされています。

そのため、産休前に辞めたいと考えるときは、「育休給付を受けられるか」ではなく、「退職後の収入をどう作るか」という視点に切り替える必要があります。

社会保険と年金の流れ

正社員を退職すると、健康保険や年金の切り替えが必要になることがあります。

日本年金機構では、会社を退職してしばらく次の会社に入らない場合などは、国民年金第1号被保険者の手続きが必要になると説明されています。配偶者の扶養に入る場合は、第3号被保険者の手続きになることがあります。

健康保険についても、退職後は再就職先の健康保険、任意継続、家族の扶養、国民健康保険などの選択肢があります。任意継続や国民健康保険には手続き期限や条件があるため、退職前後の確認が必要です。

妊娠中や出産前後は、通院や出産に関する手続きも増えます。

保険証の切り替え時期がずれると不安になりやすいため、退職日と保険の切り替えはセットで考えておくと整理しやすくなります。

どこで認識のずれが起きやすいか

産休前の退職でずれやすいのは、次のような部分です。

「産休前に辞めても、手当は同じようにもらえる」と思っていた。

「育休給付は退職しても受けられる」と思っていた。

「退職日はいつでも同じ」と考えていた。

「会社に迷惑をかけるくらいなら、早く辞めたほうがいい」と一人で決めてしまった。

「辞めたい」という気持ちが強いときは、細かい制度まで考える余裕がなくなりやすいです。

だからこそ、退職届を出す前に、制度と日付だけは落ち着いて確認しておきたいところです。

働き方で何が変わる?

産休前に辞めたいという悩みは、正社員だけのものではありません。

ただし、働き方によって、使える制度や確認先が変わります。

ここでは、雇用側と非雇用側に分けて整理します。

正社員で見方が変わるポイント

正社員の場合、会社に在籍していれば、産休や育休、社会保険、雇用保険に関係する制度を確認できる可能性があります。

そのため、産休前に辞めるかどうかを考えるときは、「辞めるか続けるか」だけでなく、次のような選択肢も並べて考えたいところです。

産休まで働く。

有給休暇を使いながら産休までつなぐ。

業務量を調整してもらう。

医師の指示をもとに勤務内容を相談する。

産休・育休を取ってから復帰するか考える。

産休に入る前に退職する。

もちろん、会社の対応や職場環境によって、現実的に選びにくいものもあります。

ただ、「退職しかない」と思い込む前に、選択肢を一度並べることで、後悔を減らしやすくなります。

契約社員や派遣社員で注意したいポイント

契約社員や派遣社員の場合も、産前産後休業の対象になるとされています。

ただし、契約期間、更新の有無、派遣元との関係などによって、育休や復職の見通しが変わることがあります。

「契約が終わるから仕方ない」と思っていても、妊娠や産休を理由にした不利益な扱いが問題になるケースもあります。

厚生労働省の母性健康管理サイトでは、妊娠・出産や育児休業等の申出・取得を理由とする解雇などの不利益取扱いは禁止されていると説明されています。

会社から退職を強く促されている、契約更新について不安がある、説明に納得できないという場合は、会社の相談窓口だけでなく、労働局などに相談する選択肢もあります。

パート・アルバイトで変わりやすい部分

パートやアルバイトでも、産前産後休業の対象になるとされています。

ただし、社会保険や雇用保険に加入しているかどうかで、出産手当金や育休給付の扱いが変わることがあります。

勤務時間、勤務日数、契約期間、加入保険を確認することが大切です。

「パートだから関係ない」と決めつけず、自分がどの制度に入っているかを見ておくと安心です。

非雇用側で注意したいポイント

業務委託やフリーランスは、会社に雇われる働き方ではありません。

そのため、正社員の産休や育休と同じようには考えにくい部分があります。

業務委託では、仕事を休む場合、契約内容、納期、業務範囲、報酬の支払条件を確認することになります。

準委任や請負などの契約形態によっても、責任の範囲や進め方が変わることがあります。

フリーランスの場合は、休む期間の収入、取引先への連絡、再開時期、代替対応を自分で整理する必要があります。

雇用の制度とは違うため、「産休前に辞める」というより、「いつから仕事量を減らすか」「どの案件を止めるか」「収入をどう補うか」という考え方に近くなります。

同じ言葉でも意味がずれやすい部分

「休む」という言葉でも、働き方によって意味が変わります。

正社員の休みは、有給休暇、産休、育休、休職など、会社の制度とつながります。

業務委託やフリーランスの休みは、契約や案件の調整とつながります。

「辞める」という言葉も同じです。

正社員が辞める場合は雇用契約の終了です。

業務委託が辞める場合は、契約終了や案件終了として扱われることがあります。

同じ言葉でも、手続き、確認先、収入への影響が変わるため、自分の働き方に合わせて整理することが大切です。

メリット

産休前に正社員を辞めることには、不安だけでなく、一定のメリットを感じる人もいます。

ただし、メリットは人によって違います。

体調、職場環境、家庭の支援、貯金、今後の働き方によって、感じ方は変わります。

生活面で感じやすいメリット

産休前に退職すると、通勤や勤務時間の負担から離れられます。

妊娠中は、体調が日によって変わりやすいことがあります。

つわり、眠気、腰痛、むくみ、通勤の不安などが重なると、仕事を続けるだけで精一杯になることもあります。

退職によって、生活リズムを出産準備に合わせやすくなる人もいます。

通院、入院準備、家事の分担、産後の環境づくりに時間を使いやすくなる点は、生活面のメリットです。

仕事面でのメリット

職場の人間関係や業務負担が大きい場合、退職によって心理的な圧迫感が減ることがあります。

「産休に入るまで迷惑をかけないようにしなければ」

「復帰後も同じように働けるのだろうか」

「引き継ぎが終わらなかったらどうしよう」

こうしたプレッシャーが強い場合、退職によって一度仕事から距離を置けることがあります。

また、今の会社に戻る意思がほとんどない場合は、産後の生活に合わせて、働き方を考え直すきっかけにもなります。

気持ちの面でのメリット

辞めると決めることで、気持ちが軽くなる人もいます。

特に、妊娠中の体調不良や職場の理解不足が続いている場合、「もう少し頑張れば大丈夫」と自分を追い込みすぎてしまうことがあります。

退職によって、職場への申し訳なさや復職への不安から距離を置ける場合もあります。

ただし、気持ちが楽になる一方で、収入や制度面の不安が後から出てくることもあります。

そのため、精神的な安心感と、退職後の現実的な見通しを両方見て判断することが大切です。

産後の働き方を見直しやすい

産休前に辞めると、産後に同じ会社へ戻る前提がなくなります。

そのため、育児との両立を前提に、働き方を組み直しやすくなる人もいます。

たとえば、時短勤務がしやすい仕事を探す。

在宅勤務ができる職種を検討する。

パートや派遣で再開する。

業務委託やフリーランスを少しずつ試す。

こうした選択肢を考えられるようになります。

ただし、産後すぐに仕事探しをするのは、体力的にも精神的にも負担になることがあります。

退職する場合は、「いつから働くか」だけでなく、「働けない期間をどう過ごすか」も含めて考えておきたいところです。

デメリット/つまずきポイント

産休前に正社員を辞めると、短期的には楽になることがあります。

一方で、後から「確認しておけばよかった」と感じやすい点もあります。

特に、お金、手続き、復職先、気持ちの変化は見落としやすい部分です。

出産手当金や育休給付に影響することがある

産休前の退職で最も確認したいのは、給付への影響です。

出産手当金は、退職後も条件を満たせば継続給付の対象になる場合があります。

ただし、継続して1年以上の被保険者期間があること、資格喪失時に受けられる条件を満たしていることなどが関係します。

また、退職日に出勤したかどうかが影響する場合もあります。

育児休業給付については、職場復帰を前提とした制度とされています。

そのため、産休前に退職する場合は、育休給付を受ける前提で考えにくくなります。

「辞めても何とかなる」と思って退職した後に、想定より収入が少ないと感じることがあるため、退職前に金額と条件を確認しておくことが大切です。

健康保険と年金の切り替えが必要になる

退職後は、健康保険や年金の切り替えが発生することがあります。

妊娠中は通院が続くため、保険証の切り替えに不安を感じやすい時期です。

任意継続にするのか、国民健康保険に入るのか、配偶者の扶養に入れるのかは、収入見込みや家族の加入状況によって変わります。

国民年金についても、退職後に次の会社へ入らない場合や、配偶者の扶養に入る場合で手続きが変わります。

退職後に慌てないためには、退職前に市区町村、年金事務所、健康保険組合などへ確認しておくと安心です。

復職先を失う不安が出やすい

産休・育休を取る場合、会社に在籍したまま復職を目指す形になります。

一方、産休前に退職すると、産後に戻る会社がなくなります。

今の会社に戻りたくない気持ちが強いときは、それがメリットに感じられるかもしれません。

ただ、出産後に「やっぱり安定収入がほしい」「保育園の申込みで就労状況が気になる」「仕事探しをする余裕がない」と感じることもあります。

産後の体調や育児の状況は、事前に読み切れない部分があります。

そのため、退職前に「産後いつ頃から、どのくらい働くか」をざっくり考えておくと、後悔を減らしやすくなります。

短期離職として見られる不安がある

入社して間もない時期や、勤続年数が短い状態で産休前に辞めると、短期離職が気になる人もいます。

転職活動で理由を聞かれる可能性はあります。

ただし、妊娠、体調、家庭状況、職場環境などが重なって判断した退職であれば、次の仕事探しで説明の仕方を整理することはできます。

大切なのは、「感情的に辞めました」と見える状態にしないことです。

たとえば、体調や家庭の事情を踏まえて退職した。

出産後の働き方を見直すために一度離れた。

今後は勤務時間や通勤距離を重視して探したい。

このように、次の働き方につながる説明ができると、短期離職への不安は少し整理しやすくなります。

会社や案件で差が出やすい部分

産休前の退職は、会社によって対応が変わりやすい部分があります。

有給休暇の残日数。

退職日の決め方。

賞与や手当の支給条件。

産休に入る前の引き継ぎ期間。

社会保険料の扱い。

退職時の書類。

これらは、会社の就業規則や給与規程で違うことがあります。

業務委託やフリーランスの場合も、案件ごとに納期、解約条件、報酬の締め日、支払日が異なります。

「一般的にはこう」と思っていても、自分の会社や契約では違うことがあるため、書面で確認することが大切です。

確認チェックリスト

産休前に正社員を辞めたいと感じたら、退職届を出す前に次の点を確認してみてください。

  • 産休開始予定日と出産予定日を確認したか
  • 退職希望日が産休前、産休中、産後のどこにあたるか
  • 有給休暇の残日数を確認したか
  • 退職前に有給休暇を使えるか
  • 体調不良がある場合、医師に勤務継続の可否を相談したか
  • 母性健康管理指導事項連絡カードなど、勤務調整に使える書類を確認したか
  • 就業規則で、退職申出の期限を確認したか
  • 会社の人事・総務に、産休・退職時の手続きを確認したか
  • 出産手当金の対象になるか、健康保険の窓口に確認したか
  • 退職日当日の出勤が出産手当金に影響しないか確認したか
  • 育児休業給付の対象になるか、ハローワークや会社に確認したか
  • 退職後の健康保険を、任意継続、国民健康保険、扶養のどれにするか考えたか
  • 退職後の年金手続きを、市区町村や年金事務所で確認したか
  • 退職後の生活費を、出産前、産後、仕事再開前に分けて見積もったか
  • 夫婦や家族で、産後の家計と役割分担を話したか
  • 産後に再就職する場合、希望する働き方を整理したか
  • 会社から退職を強く促されている場合、労働局などの相談先を確認したか
  • 退職理由を、次の仕事探しで説明できる形に整理したか

チェックしてみて不安が残るところがあれば、そこが判断前に確認したい部分です。

すべてを完璧に決める必要はありません。

ただ、退職後に戻しにくい部分から先に確認すると、後悔を減らしやすくなります。

ケース

Aさん:正社員として産休前に辞めたいと悩んだケース

Aさんは、正社員として事務職で働いていました。

妊娠がわかってからも仕事を続けていましたが、通勤中の気分不良や疲れやすさが強くなり、毎朝「もう辞めたい」と感じるようになりました。

職場に大きなトラブルがあるわけではありません。

ただ、少人数の部署だったため、休むたびに申し訳なさを感じていました。

Aさんは最初、産休に入る前に退職届を出そうと考えました。

しかし、退職すると出産手当金や育休給付、健康保険の扱いが変わるかもしれないと知り、すぐには決めませんでした。

まず、産休開始予定日、有給休暇の残日数、退職した場合の保険の切り替えを人事に確認しました。

あわせて、加入している健康保険の窓口にも出産手当金の条件を確認しました。

その結果、Aさんは、すぐに退職するのではなく、有給休暇と業務調整を使いながら産休までつなぐ方法を検討しました。

そのうえで、産後に復職するかどうかは、出産後の体調と家庭の状況を見て考えることにしました。

Aさんにとって大切だったのは、「辞めたい気持ちを否定しないこと」と「退職以外の選択肢を一度確認すること」でした。

最終的に退職を選ぶとしても、制度を確認してから決めたことで、納得感を持ちやすくなりました。

Bさん:フリーランスとして出産前に仕事を減らしたケース

Bさんは、フリーランスとして在宅でライティングの仕事をしていました。

妊娠後も仕事を続けていましたが、納期が重なると体調が不安定になり、産休のように休みたいと感じるようになりました。

ただ、Bさんは会社員ではないため、正社員の産休や育休とは仕組みが違います。

仕事を止める場合は、取引先との契約、納期、報酬の締め日、支払日を自分で整理する必要がありました。

Bさんは、まず継続案件を一覧にしました。

そして、出産予定日の2か月前から新規案件を減らし、出産予定日の1か月前には納期の短い仕事を受けないようにしました。

取引先には、体調を見ながら稼働量を減らすこと、再開時期は産後の状況を見て連絡することを伝えました。

また、出産前後の生活費を、貯金と家族の収入でどのくらい支えられるかも確認しました。

Bさんの場合、「辞める」というより、「案件を整理して休む期間を作る」という考え方が合っていました。

非雇用の働き方では、会社の産休制度に頼りにくい分、契約条件と収入計画を早めに整えることが大切だと感じました。

Q&A

正社員を産休前で辞めたら出産手当金はもらえないですか?

退職したらすぐに対象外になるとは限りません。

ただし、条件を満たす必要があります。

退職後も出産手当金を受けられる場合がありますが、継続して1年以上の被保険者期間があること、資格喪失時に出産手当金を受けているか受ける条件を満たしていることなどが関係します。退職日に出勤した場合は、退職後の出産手当金に影響することがあります。

自分が対象になるかは、加入している健康保険の窓口に確認したほうが安心です。

特に、退職日、最終出勤日、有給休暇の扱いは、事前に確認しておきたい部分です。

産休前に辞めたいけど、短期離職になるのが不安です

短期離職になる可能性はありますが、それだけで今後が決まるわけではありません。

大切なのは、なぜ辞めたのか、次にどんな働き方をしたいのかを整理しておくことです。

妊娠中の体調、通勤負担、職場環境、家庭の事情が重なって退職を選ぶ人もいます。

ただし、退職後に「手当を確認していなかった」「保険の手続きが不安だった」とならないように、制度面は先に見ておいたほうが安心です。

次の転職で説明する場合は、感情だけでなく、出産後の働き方を考えたうえでの判断として伝えられるようにしておくと整理しやすくなります。

会社や案件によって違う部分はどこですか?

違いやすいのは、退職手続き、有給休暇、賞与、社会保険、給付、引き継ぎ、復職制度です。

正社員や契約社員の場合は、就業規則、給与規程、育児休業規程、人事・総務の案内を確認します。

派遣社員の場合は、派遣元への確認が重要です。

業務委託やフリーランスの場合は、契約書、発注書、業務範囲、納期、報酬の締め日、解約条件を確認します。

同じ「産休前に仕事を離れる」でも、雇用か非雇用かで手続きが変わります。

不安が残る場合は、会社の担当窓口、健康保険、ハローワーク、年金事務所、市区町村、労働局などに分けて確認すると、整理しやすくなります。

まとめ

  • 正社員を産休前で辞めたいと感じること自体は、珍しい悩みではありません
  • すぐに退職を決める前に、体調、お金、制度、復帰の意思を分けて考えると整理しやすくなります
  • 産休前に辞めると、出産手当金、育休給付、健康保険、年金、復職先に影響が出ることがあります
  • 短期離職で後悔しないためには、退職日、有給休暇、給付条件、保険の切り替えを先に確認しておくことが大切です
  • 会社員とフリーランスでは、同じ「休む」「辞める」でも意味や確認先が変わります

産休前に辞めたいと思うほどしんどいなら、その気持ちを無理に押し込める必要はありません。

ただ、退職は一度進めると戻しにくい場面もあります。

辞めるか続けるかを急いで決めるより、まずは使える制度と確認先を見える形にしてみてください。

違いが見えてくると、「今すぐ辞める」「産休までつなぐ」「産後に考える」など、自分に合う選択肢を選びやすくなります。

コメント

タイトルとURLをコピーしました