介護の現場では、介護職だけで仕事が完結することはほとんどありません。看護師、ケアマネジャー、生活相談員、リハビリ職、管理栄養士、事務職など、さまざまな職種と協力しながら利用者さんの生活を支えます。
しかし、他職種との考え方や立場の違いから、「話しかけるのが怖い」「こちらの意見を聞いてもらえない」「介護職だけが大変な思いをしている気がする」と悩むこともあります。
利用者さんの安全に関わるため、簡単に距離を置けないことも、他職種との人間関係がつらくなりやすい理由です。
他職種連携でうまくいかないときは、自分のコミュニケーション能力だけを責める必要はありません。職種ごとの役割、情報共有の仕組み、人員配置、職場の雰囲気など、さまざまな要因が関係しています。
この記事では、介護職と他職種の人間関係がつらくなる原因を整理し、関係を悪化させない伝え方や、無理を続けないための対処法を解説します。
この記事でわかること
・介護職と他職種の人間関係が難しくなりやすい理由
・看護師やケアマネジャーなどとの役割の違い
・他職種へ報告・相談するときの伝え方
・意見を聞いてもらえないときの対処法
・個人ではなく職場の仕組みに問題があるケース
・今の職場で無理を続けるべきか判断する目安
介護職と他職種の人間関係が難しくなりやすい背景
利用者さんを見る視点が職種によって異なる
介護職と他職種は、同じ利用者さんを支援していても、重点的に見る部分が異なります。
介護職は、食事、排泄、入浴、移動、睡眠、会話など、利用者さんの日常生活に長く関わります。そのため、普段との小さな違いや、本人が何に困っているかに気づきやすい立場です。
一方、看護師は健康状態や医療面、リハビリ職は身体機能や動作、ケアマネジャーはケアプラン全体、生活相談員は利用者さんや家族との調整など、それぞれの専門的な視点から状況を見ています。
どの視点が正しいということではありません。しかし、見ている部分が異なるため、同じ出来事でも受け止め方が変わります。
たとえば、介護職が「今日はいつもより元気がない」と感じても、他職種から「具体的に何が違うのですか」と聞かれることがあります。この質問を否定されたように感じる人もいますが、相手は専門的な判断に必要な情報を確認している場合があります。
反対に、他職種から指示だけを伝えられ、介護現場で実行する難しさが考慮されていないと感じることもあるでしょう。
視点の違いを人格や立場の優劣として受け取ると、人間関係の対立に発展しやすくなります。
業務の大変さが相手から見えにくい
他職種の仕事は、介護職からすべて見えるわけではありません。同じように、介護職の忙しさも、他職種には十分伝わっていないことがあります。
介護職は、ナースコール、排泄介助、食事介助、入浴介助、記録、家族対応などが重なり、予定どおりに業務が進まないことも少なくありません。
そのような状況で、他職種から新しい依頼や確認を求められると、**「こちらの忙しさをわかってくれない」**と感じやすくなります。
一方、相手にも会議、記録、処置、計画書作成、家族への連絡など、介護職からは見えにくい業務があります。
お互いの仕事が見えないまま負担感だけが強くなると、「介護職ばかり仕事を押しつけられている」「介護職は指示を守ってくれない」といった不満につながります。
人間関係の問題に見えても、実際には業務量や役割分担が整理されていないことが原因になっている場合があります。
伝えるタイミングが合わない
内容が正しくても、伝えるタイミングによっては相手に受け入れてもらいにくくなります。
たとえば、看護師が処置をしている最中に緊急性の低い相談をしたり、ケアマネジャーが家族対応をしているときに長い報告をしたりすると、十分に話を聞いてもらえないことがあります。
介護職側も、食事介助や排泄対応が重なっているときに質問されると、余裕を持って答えられないことがあります。
話を聞いてもらえなかった経験が続くと、「嫌われている」「自分だけ冷たくされている」と感じるかもしれません。しかし、単純に相手が対応できる状況ではなかった可能性もあります。
緊急性が低い内容であれば、最初に**「今、少し相談しても大丈夫ですか」**と確認するだけでも、やり取りが落ち着きやすくなります。
ただし、転倒、急な意識状態の変化、呼吸状態の異変、誤薬の可能性など、安全に関わる内容は、忙しそうだからと報告を遅らせてはいけません。職場の報告手順に従い、看護師や上司へ速やかに伝えましょう。
職種間に上下関係のような雰囲気がある
本来、多職種連携は、それぞれの専門性を生かして利用者さんを支えるためのものです。職種によって役割は異なりますが、利用者さんを支援するチームの一員であることに変わりはありません。
しかし、職場によっては、特定の職種の意見が強く、介護職が発言しにくい雰囲気になっていることがあります。
介護職が気づいた変化を報告しても軽く扱われたり、質問すると強い口調で返されたりする環境では、必要な情報共有までためらうようになります。
これは個人の性格だけではなく、職場文化や管理体制の問題です。
覚えておきたいこと
他職種に遠慮して必要な報告ができなくなると、利用者さんの安全に影響することがあります。
職種に関係なく、必要な情報を伝えられる環境が大切です。
他職種との関係で介護職がつらくなりやすい場面
看護師に報告すると強く聞き返される
介護職と看護師は、利用者さんの体調変化について情報共有する機会が多い関係です。そのため、やり取りの回数が多い分、すれ違いも起こりやすくなります。
介護職が「なんとなく様子がおかしいです」と伝えたとき、看護師から次のように聞かれることがあります。
・いつから変化があるのか
・普段と何が違うのか
・食事や水分はどれくらい取れているか
・体温、血圧、脈拍などに変化はあるか
・排泄状況に変化はないか
・転倒や服薬に関する出来事はなかったか
質問が続くと、責められているように感じるかもしれません。しかし、看護師は状態を判断するために、具体的な情報を集めている場合があります。
一方で、必要以上に威圧的な態度を取られたり、人前で繰り返し叱責されたりする場合は、「専門職だから仕方がない」と我慢する必要はありません。
質問されることと、人格を否定されることは別の問題です。
報告内容を整理しても強い態度が続く場合は、直属の上司や介護主任へ相談しましょう。
ケアマネジャーや生活相談員に現場の意見が伝わらない
ケアマネジャーや生活相談員は、利用者さんや家族、事業所、関係機関との調整を担当することがあります。
介護職が現場で感じている負担や変化を伝えても、すぐにケアプランや対応方針が変わるとは限りません。本人や家族の意向、契約内容、他職種の評価などを含めて検討する必要があるためです。
そのため、介護職から見ると、**「現場の大変さを理解してくれない」「相談しても何も変わらない」**と感じることがあります。
伝えるときは、「大変です」「対応できません」だけで終わらせず、具体的な状況を示すことが重要です。
たとえば、次のように伝えます。
・どの時間帯に問題が起きているか
・週に何回ほど発生しているか
・現在どのように対応しているか
・利用者さんにどのような影響があるか
・介護職員の配置上、何が難しいのか
・どのような支援や見直しを求めているか
状況を具体化すると、相手も会議やケアプランの見直しで取り上げやすくなります。
リハビリ職の提案が介護現場では実行しにくい
理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などのリハビリ職から、移乗方法や歩行介助、食事姿勢などについて提案を受けることがあります。
提案自体は利用者さんの機能維持や安全を考えたものでも、介護現場の人員や時間帯によっては、毎回同じ方法で実施することが難しい場合があります。
たとえば、二人介助が望ましい方法でも、夜間に十分な人数を確保できないことがあります。使用する福祉用具が決まっていても、他の利用者さんが使用中という状況もあります。
このようなとき、介護職だけで判断して方法を変えるのではなく、実施できない条件を具体的に伝え、現場で継続可能な方法を一緒に検討することが必要です。
「忙しいから無理です」と伝えるよりも、「夜勤帯は職員が少なく、この時間は二人介助が難しいです。安全に実施できる別の方法はありますか」と相談すると、対立になりにくくなります。
移乗や食事形態など、安全や医療的判断に関わる内容は、自己判断で変更せず、看護師、リハビリ職、上司などへ確認してください。
事務職や管理者に現場の負担が理解されない
事務職や施設管理者は、勤務表、請求、採用、運営、設備管理など、現場とは異なる業務を担当しています。
介護職が人員不足や備品不足を訴えても、予算、採用状況、施設全体の運営上、すぐには対応できない場合があります。
しかし、説明がないまま要望を断られると、介護職は「現場を見ていない」と感じやすくなります。
反対に、管理側からは「不満だけを言われても判断できない」と受け取られることもあります。
改善を求めるときは、感情だけではなく、事実を整理して伝えましょう。
| 伝える内容 | 具体例 |
|---|---|
| 起きている問題 | 入浴介助の時間帯に職員が不足する |
| 発生する頻度 | 週3回ほど、一人で複数人を対応している |
| 現在の影響 | 待ち時間が長くなり、記録も残業になっている |
| 安全面の懸念 | 急な立ち上がりに対応しにくい |
| 希望する対応 | 配置の見直し、入浴人数の調整、応援体制の検討 |
数字や具体例があると、個人的な不満ではなく、職場全体の課題として扱われやすくなります。
他職種とすれ違いやすい介護職側の伝え方
結論がわからないまま長く説明してしまう
利用者さんの状況を丁寧に伝えようとして、最初から経過をすべて説明すると、相手が何を求められているのかわからなくなることがあります。
報告するときは、最初に要点を伝えましょう。
たとえば、次の順番で整理します。
- 何が起きたのか
- 現在の状態はどうか
- いつから、どのような経過なのか
- すでに何をしたのか
- 何を確認したいのか
「〇〇さんについて報告です。昼食時からむせ込みが増えています。現在は食事を中止して安静にしています。食事を再開してよいか確認をお願いします」と伝えると、相談の目的がわかりやすくなります。
報告を整理する型
「〇〇さんについて、△△があったため報告します」
「現在は□□の状態です」
「こちらでは◇◇まで対応しています」
「今後の対応について確認をお願いします」
この型をそのまま使う必要はありませんが、結論・現状・対応・確認したいことを意識すると、他職種とのやり取りが短くなります。
感覚だけで状態を伝えてしまう
介護職が日常的に利用者さんを見ているからこそ、「いつもと違う」という感覚は大切です。
ただし、「元気がない」「顔色が悪い」「最近おかしい」といった表現だけでは、他職種が具体的な対応を判断しにくいことがあります。
感覚に加えて、観察した事実を伝えましょう。
| 感覚的な表現 | 具体的な伝え方 |
|---|---|
| 元気がない | 普段は自分から話すが、今日は呼びかけへの返答が少ない |
| 食欲がない | 昼食は主食2割、副食1割で、普段の半分以下だった |
| 歩き方がおかしい | 右足を出すときにふらつきがあり、手すりを強く握っていた |
| 落ち着かない | 14時から15時の間に居室と廊下を5回往復している |
| 顔色が悪い | 顔が青白く、冷や汗があり、普段より反応が鈍い |
記録や報告では、観察した事実と自分の推測を分けることが重要です。
「痛みがあるようです」と断定するのではなく、「右膝を押さえ、『痛い』と話していました」と伝えると、事実が明確になります。
相手への不満が先に出てしまう
関係が悪くなっていると、相談のつもりでも責めるような言い方になることがあります。
「いつも急に指示しますよね」「現場のことを何もわかっていませんよね」と伝えると、相手は内容よりも非難されたことに反応しやすくなります。
不満を我慢する必要はありませんが、問題となっている行動と、その影響を分けて伝えましょう。
たとえば、次のように言い換えられます。
「当日の変更だと職員配置の調整が難しいため、可能であれば前日までに共有していただけると助かります」
「この方法を一人で行うと転倒が心配です。二人介助が必要か、別の方法があるか確認したいです」
「家族への説明内容を統一したいため、変更点は介護職にも共有していただけますか」
相手を評価するのではなく、起きている事実、現場への影響、希望する対応を伝えることがポイントです。
わからないのに「わかりました」と答えてしまう
強い口調で説明されたり、忙しそうにされたりすると、内容を十分理解できていなくても「わかりました」と答えてしまうことがあります。
しかし、不明点を残したまま介助を行うと、利用者さんの安全に影響する可能性があります。
確認するときは、すべてを最初から聞き直すのではなく、自分が理解した内容を伝えたうえで、不明点を絞りましょう。
「確認ですが、移乗時は右側から支えて、車いすは左側につけるという理解で合っていますか」
「食事は一口量を減らすことはわかりました。飲み物のとろみも変更になりますか」
「夜間も同じ対応でよいですか。それとも日中だけでしょうか」
確認することは能力不足ではなく、安全に支援するための行動です。
質問しにくい雰囲気があっても、自己判断で進めず、別の職員や上司を通して確認しましょう。
他職種との人間関係を少し楽にする実践方法
相手の役割と相談先を整理する
他職種との関係がうまくいかないときは、誰に何を相談すべきかが曖昧になっている場合があります。
施設形態によって異なりますが、一般的には次のような相談先が考えられます。
| 相談内容 | 主な相談先の例 |
|---|---|
| 体調変化、服薬、医療面 | 看護師、上司 |
| 移乗、歩行、姿勢、福祉用具 | リハビリ職、福祉用具担当者、上司 |
| ケアプランや支援方針 | ケアマネジャー、介護支援専門員 |
| 家族対応、入退所の調整 | 生活相談員、管理者 |
| 食事形態、栄養状態 | 管理栄養士、看護師、言語聴覚士 |
| 勤務体制、業務分担 | 介護主任、管理者 |
| ハラスメントや人間関係 | 直属の上司、管理者、法人の相談窓口 |
実際の役割分担は職場によって異なります。入職時の説明資料や業務マニュアルを確認し、不明な場合は上司に聞いておきましょう。
相談先を間違えると、何度も説明することになり、「たらい回しにされた」と感じやすくなります。
口頭だけでなく記録を活用する
勤務時間が異なる職種とは、直接話せる機会が限られます。そのため、口頭報告だけでは情報が抜けたり、伝言の途中で内容が変わったりすることがあります。
職場で認められている記録方法や連絡ツールを活用しましょう。
・介護記録
・申し送りノート
・連絡票
・カンファレンス記録
・電子記録の連絡欄
・業務上認められたチャットや共有システム
記録には、感情的な表現や個人への批判を書かず、利用者さんの状態と必要な対応を中心に記載します。
「看護師が何もしてくれなかった」と書くのではなく、「14時に〇〇の状態を看護師へ報告。経過観察の指示あり。15時時点で△△の変化を確認」と事実を残します。
ただし、緊急性のある内容を記録だけで済ませてはいけません。職場のルールに従って、口頭や電話で速やかに報告してください。
カンファレンスで個人の問題ではなく支援方法を話す
一対一では言いにくい内容も、カンファレンスであれば、チーム全体の課題として話しやすくなります。
たとえば、利用者さんの介助方法について職種間で意見が異なる場合は、次の点を整理して持ち込みます。
・現在の介助方法
・介護職が困っている場面
・利用者さんの反応
・事故につながる可能性
・時間帯や職員数による違い
・各職種に確認したいこと
「誰の指示が正しいか」を決める場にすると対立しやすくなります。
「利用者さんが安全に過ごせて、現場でも継続できる方法は何か」という目的に戻すことが大切です。
介護職が発言しにくい場合は、事前に介護主任へ相談し、カンファレンスで取り上げてもらう方法もあります。
日頃の短いやり取りを丁寧にする
他職種との関係は、大きな話し合いだけで改善するとは限りません。
挨拶、報告へのお礼、対応結果の共有など、短いやり取りを積み重ねることで、相談しやすくなることがあります。
たとえば、看護師へ状態を報告し、対応してもらったあとに、「先ほどの〇〇さんですが、その後は落ち着いています。ありがとうございました」と伝えます。
リハビリ職から介助方法を教えてもらった場合は、「昨日教えてもらった方法で、今日は立ち上がりが安定していました」と結果を共有します。
ただし、相手の機嫌を取ったり、過度にへりくだったりする必要はありません。
必要な情報を丁寧に伝え、対応結果を返すことが、仕事上の信頼につながります。
連携を見直すチェックリスト
□ 誰に相談する内容なのか整理できている
□ 報告の最初に結論を伝えている
□ 感覚だけでなく具体的な事実を伝えている
□ 緊急性の有無を意識している
□ 相手を責める言い方になっていない
□ 不明点を残したまま介助していない
□ 必要な内容を記録にも残している
□ 個人で解決できない問題は上司へ共有している
すべてを一度に改善する必要はありません。自分が取り組みやすい項目から見直しましょう。
関係改善を自分一人で背負わないための対処法
苦手な相手とは業務上必要な関係を目指す
職場の全員と親しくなる必要はありません。
他職種との連携では、仲の良さよりも、利用者さんに必要な情報を伝え合えることが重要です。
苦手な相手に対して無理に雑談を増やしたり、好かれようとしたりすると、かえって疲れてしまうことがあります。
目指したいのは、次のような業務上の関係です。
・挨拶ができる
・必要な報告ができる
・質問や確認ができる
・決まった対応を共有できる
・意見が違っても利用者さんの前では冷静に対応できる
関係が良くない相手とは、必要な内容を簡潔に伝え、記録を残すことで距離を保つ方法もあります。
ただし、相手を避けるあまり必要な報告をしなくなるのは危険です。直接伝えにくい場合は、介護主任やリーダーを通しましょう。
上司に相談するときは事実と希望を分ける
上司へ相談しても、「もう少し様子を見て」「相手にも事情がある」と言われ、解決しないことがあります。
相談するときは、相手への印象だけでなく、具体的な出来事を整理しましょう。
上司への相談例
「看護師との連携について相談があります。今月、利用者さんの状態を報告した際に、他の職員がいる前で強い口調で注意されることが3回ありました。報告自体をためらうようになっており、安全面でも不安があります。報告方法に問題があれば改善したいので、間に入って確認していただけないでしょうか」
この伝え方では、次の点が含まれています。
・何について困っているか
・いつ、何回ほど起きたか
・仕事にどのような影響が出ているか
・自分も改善する意思があること
・上司に何をしてほしいか
相談した日時や内容、上司の回答をメモしておくことも大切です。
一度の相談で変わらない場合は、再度相談するか、さらに上の管理者、法人本部、ハラスメント相談窓口などを利用する方法があります。
威圧的な言動や無視を我慢し続けない
他職種からの注意がすべてハラスメントに当たるわけではありません。利用者さんの安全に関わるミスがあれば、厳しい指摘を受けることもあります。
大切なのは、指摘の内容と伝え方を分けて考えることです。
業務上必要な指導であっても、次のような行為が繰り返される場合は、我慢だけで解決しようとしないでください。
・人格や能力を否定する
・大勢の前で必要以上に叱責する
・特定の職員だけを無視する
・必要な情報を意図的に伝えない
・質問しても嘲笑する
・失敗を過度に言いふらす
・職種や資格を理由に見下す
・安全上必要な報告を受け付けない
日時、場所、言われた内容、その場にいた人、業務への影響を記録しておくと、相談時に説明しやすくなります。
録音などについては職場の規則や法的な扱いも関係するため、不安がある場合は労働相談窓口や専門家に確認してください。
心身に影響が出ているなら休むことも必要
他職種との人間関係がつらい状態が続くと、出勤前に動悸がする、眠れない、食欲が落ちる、仕事中に強い緊張が続くなど、心身に影響が出ることがあります。
この状態で「自分がもっと頑張ればよい」と無理を続けると、さらに判断力や集中力が落ち、事故やミスにつながる可能性もあります。
体調に変化がある場合は、早めに休養を取り、必要に応じて医療機関へ相談してください。
職場には、体調不良の詳細をすべて説明しなくても、勤務継続が難しい状態であることを伝えられます。勤務変更や休職制度については、就業規則や人事担当者へ確認しましょう。
無理を続けない目安
・休日も相手の言動を思い出して休めない
・仕事の前になると強い不安や体調不良が出る
・必要な報告をすることが怖くなっている
・自分だけが悪いと思い続けている
・上司へ相談しても状況が改善しない
・利用者さんへの対応に集中できない
・退職を考えるほど追い詰められている
当てはまる項目が多い場合は、一人で耐える段階を超えている可能性があります。
今の職場で関係改善が難しいときの判断基準
個人同士の問題か職場全体の問題かを見分ける
特定の一人と合わないだけであれば、勤務の組み合わせを調整したり、上司に間へ入ってもらったりすることで改善できる場合があります。
一方、複数の他職種から介護職が見下されている、必要な情報が共有されない、管理者が問題を放置している場合は、個人ではなく職場全体の問題と考えられます。
次のような状態がある職場では、注意が必要です。
・職種間で挨拶や会話がほとんどない
・介護職が会議で発言できない
・決定事項が介護現場に共有されない
・指示する人によって内容が違う
・問題が起きると特定の職種へ責任を押しつける
・管理者が職種間の対立を把握しても対応しない
・退職者が多く、引き継ぎが不十分
・安全上の相談をしても取り合ってもらえない
このような環境では、個人の伝え方を工夫するだけでは改善しにくいでしょう。
改善のための相談に職場が対応するかを見る
働き続けるか迷ったときは、人間関係が悪いかどうかだけでなく、問題が起きたときに職場が対応するかを確認します。
働きやすい職場でも、意見の違いや人間関係のトラブルが起こることはあります。
重要なのは、次のような対応があるかです。
・上司が双方から話を聞く
・報告方法や役割分担を見直す
・カンファレンスで支援方法を統一する
・必要に応じて勤務配置を調整する
・相談者が不利益を受けないよう配慮する
・対応後に状況を確認する
相談しても一方的に我慢を求められる、相手に伝えたまま放置される、相談したことが職場中に広まる場合は、安心して働ける環境とは言いにくいでしょう。
異動や配置変更で改善できる可能性もある
施設の規模によっては、フロア異動、部署異動、勤務帯の変更などで、苦手な相手との関わりを減らせることがあります。
退職を決める前に、次のような選択肢を相談してみてもよいでしょう。
・別のフロアへ異動する
・夜勤の組み合わせを変更する
・担当業務を一時的に見直す
・連絡窓口をリーダーに統一する
・同じ法人内の別事業所へ異動する
・面談や研修の機会を設ける
ただし、異動によって問題のある職員だけが守られ、自分だけが不利益を受けるような対応には注意が必要です。
異動後の勤務条件、給与、勤務時間、仕事内容がどう変わるかも確認してください。
転職を考えてもよい状態
他職種との人間関係がつらくても、すぐに転職すべきとは限りません。
一時的な忙しさや、役割を十分理解できていないことが原因なら、経験を重ねたり、相談方法を変えたりすることで関係が落ち着く場合があります。
一方で、次のような状態が続くなら、転職を検討してもよいでしょう。
・何度相談しても威圧的な言動が改善しない
・必要な報告ができず、利用者さんの安全が守れない
・特定の職種による差別的な扱いが続いている
・管理者が問題を放置している
・体調を崩しても勤務を続けるよう求められる
・人員不足が深刻で連携する余裕がない
・今後も働き続ける姿が想像できない
転職は人間関係から逃げることではありません。安心して報告・相談できる職場へ環境を変えることも、介護職を続けるための選択肢です。
次の職場を探すときは、給与や勤務時間だけでなく、多職種連携の仕組みも確認しましょう。
面接や見学で確認したい質問
「介護職と看護師の情報共有は、どのような方法で行っていますか」
「多職種カンファレンスは、どのくらいの頻度でありますか」
「介助方法について意見が異なる場合は、どのように調整していますか」
「介護職が体調変化に気づいたときの報告手順を教えてください」
「職種間の相談は、誰に伝える仕組みになっていますか」
「職場見学で、実際の申し送りや職員同士の様子を見られますか」
見学では、職員同士が挨拶しているか、質問に落ち着いて答えているか、介護職の報告を他職種がどのように聞いているかを見ておきましょう。
まとめ|他職種との関係は一人で解決しようとしない
介護職と他職種は、利用者さんを支える目的は同じでも、役割や注目する点が異なります。その違いが十分共有されていないと、考え方の対立や人間関係のつらさにつながります。
報告するときは、結論、現在の状態、観察した事実、すでに行った対応、確認したい内容を整理すると伝わりやすくなります。
ただし、伝え方を工夫すれば、すべての問題が解決するわけではありません。
職種間の上下関係が強い、必要な報告を受け付けてもらえない、威圧的な態度が繰り返される場合は、上司や管理者へ相談する必要があります。
この記事のまとめ
・介護職と他職種は、役割や利用者さんを見る視点が異なる
・人間関係の問題に見えても、業務量や情報共有の仕組みが原因の場合がある
・報告では感覚だけでなく、観察した事実を具体的に伝える
・不明点を残したまま自己判断で介助を進めない
・苦手な相手とは、親しくなるより必要な連携ができる関係を目指す
・威圧的な言動や情報共有の拒否は、一人で我慢せず上司へ相談する
・相談しても改善せず心身に影響がある場合は、異動や転職も選択肢になる
他職種との人間関係がつらいからといって、介護職としての能力が低いとは限りません。
職種が違えば、考え方や仕事の進め方が違うのは自然なことです。まずは伝え方や相談先を整理し、それでも改善しない場合は、職場の仕組みや管理体制に問題がないかを考えましょう。
利用者さんの安全を守るためにも、介護職自身が無理なく働けることが大切です。必要な連携ができない環境で、自分だけを責めながら働き続ける必要はありません。


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