介護職を辞めたいと考えていても、「最初に誰へ伝えればよいのかわからない」「施設長へ直接言うべきなのか」「同僚に先に相談してもよいのか」と迷う人は少なくありません。
介護施設には、ユニットリーダー、フロアリーダー、主任、介護長、管理者、施設長など、複数の役職者がいることがあります。そのため、職場の指揮命令系統がわかりにくく、退職を伝える相手を判断しづらい場合もあります。
基本的には、介護職を辞める意思は直属の上司へ最初に伝えるのが一般的です。ただし、上司が取り合ってくれない、ハラスメントを受けている、心身の状態が悪化しているなど、通常どおりに進めるのが難しいケースもあります。
この記事では、介護職を辞める時は誰に言うのか、伝えるタイミングや具体的な言い方、退職日までの進め方を解説します。
この記事でわかること
・介護職を辞める意思を最初に伝える相手
・主任や施設長へ直接伝えてよいケース
・退職を申し出る適切なタイミング
・角が立ちにくい退職理由の伝え方
・引き止められた時の対応方法
・退職日までに準備しておきたいこと
介護職を辞める時は誰に言う?基本は直属の上司
最初に伝えるのは日常的に指示を受けている上司
介護職を辞める時は、原則として日常的に業務の指示や勤務管理を受けている直属の上司へ伝えます。
たとえば、次のような相手です。
| 職場での立場 | 最初に伝える相手の例 |
|---|---|
| 一般の介護職員 | ユニットリーダー、フロアリーダー、主任 |
| ユニットリーダー | 介護主任、介護長、施設管理者 |
| 主任・介護長 | 管理者、施設長 |
| 訪問介護員 | サービス提供責任者、管理者 |
| デイサービス職員 | 生活相談員、主任、管理者 |
| 小規模な事業所の職員 | 管理者、施設長、経営者 |
役職名は施設によって異なります。誰が直属の上司かわからない場合は、雇用契約書や組織図、就業規則を確認するか、事務担当者へ**「退職手続きの相談は、どなたに申し出ればよいですか」**と聞いてもよいでしょう。
直属の上司に先に伝えるのは、単なる礼儀だけが理由ではありません。退職後の人員配置やシフト、業務の引き継ぎを調整する立場にあるためです。
主任を飛ばして施設長へ直接伝えるのは避ける
直属の上司がユニットリーダーや主任である場合、特別な事情がない限り、最初から施設長へ直接伝えるのは避けたほうが無難です。
施設長に先に伝えると、直属の上司が後から知らされる形になり、**「なぜ先に相談してくれなかったのか」**と関係がこじれることがあります。退職日まで同じ現場で働くことを考えると、基本的な順序は守ったほうが進めやすいでしょう。
ただし、リーダーに退職を決定する権限がなく、最終的には施設長や法人本部との面談が必要になる職場もあります。
その場合も、まず直属の上司へ伝え、次のように確認します。
確認するときの言い方
「退職について正式にご相談したいのですが、次はどなたにお伝えすればよいでしょうか」
職場ごとの手順に沿えば、自分で複雑な役職関係を判断する必要はありません。
同僚や仲のよい職員へ先に話さない
退職を考え始めた段階で、仲のよい同僚へ相談したくなることもあります。しかし、正式に上司へ伝える前に、複数の職員へ話すのはおすすめできません。
介護現場では、勤務中に職員同士が情報を共有する機会が多く、意図しない形で退職の話が広がることがあります。
本人が正式に伝える前に上司の耳へ入ると、次のような問題が起こりやすくなります。
- 上司から事情を問い詰められる
- まだ決断していないのに退職する人として扱われる
- 職場内でうわさが広がる
- シフトや担当業務に影響する
- 利用者さんや家族へ誤った情報が伝わる
家族や職場外の友人へ相談するのは問題ありませんが、職場内では正式な申し出が終わるまで話す相手を限定することが大切です。
直属の上司へ言えない時は別の責任者へ相談する
必ずしも、すべてのケースで直属の上司へ伝えなければならないわけではありません。
次のような事情がある場合は、その上の管理職や法人本部、人事担当者へ相談する方法があります。
- 直属の上司からハラスメントを受けている
- 退職の相談を何度も無視されている
- 上司が長期間不在になっている
- 上司に強い恐怖を感じて話せない
- 退職を伝えると暴言や威圧が予想される
- 心身の状態が悪く、通常の面談が難しい
たとえば、ユニットリーダーに話せない事情があるなら、介護主任や施設長へ相談します。施設長に問題がある場合は、法人本部や人事部、運営会社の相談窓口などを確認しましょう。
相談先を変えてよいケース
退職の手順を守ることは大切ですが、自分の安全や心身の状態を犠牲にする必要はありません。
通常のルートで伝えられない事情がある場合は、一つ上の責任者や外部の相談窓口を利用しましょう。
退職を伝えるタイミングは就業規則と勤務状況から考える
まず就業規則に書かれた申し出期限を確認する
退職を決めたら、最初に就業規則や雇用契約書を確認します。
就業規則には、次のような内容が記載されていることがあります。
- 退職希望日の1か月前までに申し出る
- 退職願または退職届を提出する
- 所定の書式を使用する
- 所属長を経由して施設長へ提出する
- 貸与品を退職日までに返却する
期間の定めがない労働契約では、法律上は原則として退職の申し入れから2週間が一つの基準です。一方、厚生労働省も、就業規則に退職手続きが定められている場合は、内容を確認して適切な手続きを取ることがトラブル防止につながると案内しています。
法律上の最低期間だけを見て、必ず2週間前でよいと判断するのではなく、まずは就業規則に沿って申し出るほうが円満に進めやすいでしょう。
介護職では1〜2か月前を目安にすると調整しやすい
介護現場では、1か月単位で勤務シフトを作成している職場が多く、退職者が出ると夜勤回数や早番・遅番の配置を組み直す必要があります。
そのため、緊急の事情がない場合は、退職希望日の1〜2か月前を目安に伝えると調整しやすくなります。
特に、次の条件に当てはまる人は、少し早めの相談を検討しましょう。
- 夜勤に入っている
- ユニットリーダーなどの役割がある
- 委員会や行事の担当をしている
- 新人職員の指導を担当している
- ケアプランに関係する業務を担っている
- 入居者さんの個別担当になっている
ただし、早く伝えればよいとは限りません。退職までの期間が長すぎると、気まずさが続いたり、引き止めを受ける期間が長くなったりする可能性もあります。
就業規則を確認したうえで、自分の体調や職場の状況も考えて決めましょう。
忙しい時間帯や他の職員がいる場所では伝えない
退職の話は、入浴介助や食事介助の最中、申し送りの直前など、慌ただしい時間帯に切り出すのは避けます。
上司に十分な時間がなく、話が途中で終わったり、他の職員に聞かれたりする可能性があるためです。
まずは、次のように面談の時間を取ってもらいましょう。
面談をお願いする例
「今後の勤務についてお話ししたいことがあります。業務後に少しお時間をいただけますか」
「ご相談したいことがありますので、二人でお話しできる時間をいただけないでしょうか」
この段階では、職員が多くいる場所で退職の話まで詳しく説明する必要はありません。
できれば、管理者室や面談室など、周囲に話を聞かれにくい場所で伝えます。
有期契約の場合は契約期間を必ず確認する
正社員でも、期間の定めがない契約とは限りません。また、パートや契約職員でも無期契約になっている場合があります。
判断に必要なのは雇用形態の名称ではなく、雇用契約に期間の定めがあるかどうかです。
契約期間が決まっている有期労働契約では、契約途中の退職について無期契約とは異なる扱いになることがあります。一方、一定の有期労働契約では、契約開始から1年を経過した後に申し出て退職できる制度もあります。
有期契約の途中で辞めたい場合は、次の内容を確認してください。
- 現在の契約期間
- 契約の更新日
- 更新の有無を伝える期限
- 途中退職に関する規定
- 退職を希望する理由
契約内容がわかりにくい場合は、自己判断せず、法人の人事担当者や公的な労働相談窓口へ確認しましょう。
介護職を辞める意思を角が立たないように伝える方法
「相談」ではなく退職の意思を明確にする
退職をすでに決めている場合は、曖昧な言い方を避けます。
たとえば、次のような伝え方では、上司から勤務条件の変更を提案され、話が進まないことがあります。
- 「辞めようか迷っています」
- 「少し仕事がつらいです」
- 「できれば辞めたいと思っています」
- 「続ける自信がありません」
上司には悩み相談として受け取られる可能性があるためです。
退職を決めているなら、退職希望日と意思を簡潔に伝えることが大切です。
基本的な伝え方
「お時間をいただきありがとうございます。一身上の都合により、〇月末で退職したいと考えています」
「退職の意思は固まっています。就業規則に沿って手続きを進めさせていただきたいです」
退職日が確定していない段階でも、希望日は伝えられるようにしておきましょう。
退職理由は詳しく話しすぎなくてもよい
退職理由をどこまで話すか迷う人もいますが、すべての不満を細かく説明する必要はありません。
円満退職を目指す場合は、次のような表現が使いやすいでしょう。
- 一身上の都合
- 家庭の事情
- 今後の働き方を見直したい
- 体力面を考えて勤務形態を変えたい
- 別の分野へ挑戦したい
- キャリアの方向性を見直したい
実際には人間関係や待遇が理由でも、感情的に職員の名前を挙げて批判すると、退職日まで働きづらくなることがあります。
ただし、ハラスメントや安全上の問題、法令違反が疑われる行為については、単なる不満として終わらせず、記録を残したうえで適切な相談先へ伝えることも検討しましょう。
体調不良が理由なら無理に詳しく説明しない
腰痛や睡眠不足、精神的な負担など、体調を理由に介護職を辞める人もいます。
その場合も、病名や治療内容を職場の全員へ詳しく説明する必要はありません。
上司には、必要な範囲で次のように伝えられます。
体調を理由にする例
「体調面から現在の勤務を続けることが難しいと判断し、退職を希望しています」
「今後の療養を優先する必要があるため、〇月末で退職させていただきたいです」
診断書の提出が必要かどうかは、休職制度の利用や退職時期、就業規則によって異なります。提出を求められた場合は、理由と必要な書類を確認しましょう。
体調が悪化している時は、円満さを優先して無理に働き続けるのではなく、医師や職場の産業保健スタッフなどへ相談してください。
退職理由より感謝と引き継ぎの姿勢を示す
退職理由を長く説明するより、これまでの感謝と引き継ぎへの姿勢を伝えたほうが、話し合いは進みやすくなります。
円満に伝える例文
「これまで多くのことを教えていただき、ありがとうございました。今後の働き方を考えた結果、〇月末で退職したいと考えています。ご迷惑をおかけしますが、退職日まで責任を持って引き継ぎを進めます」
謝罪を繰り返したり、許可を懇願したりする必要はありません。
退職する意思は明確にしつつ、残りの勤務には誠実に対応するという姿勢が重要です。
退職を伝えた後に確認しておきたい手続き
退職日と最終出勤日は分けて確認する
退職日とは雇用契約が終了する日であり、最終出勤日とは実際に最後に勤務する日です。
残っている有給休暇を使用する場合は、最終出勤日から退職日まで間が空くことがあります。
たとえば、3月31日を退職日とし、3月20日を最終出勤日にして、残りの期間に有給休暇を取得する形です。
上司へ退職を伝える時は、次の3点を分けて確認しましょう。
| 確認項目 | 内容 |
|---|---|
| 退職希望日 | 雇用契約を終了したい日 |
| 最終出勤日 | 実際に最後に勤務する日 |
| 有給休暇 | 残日数と取得を希望する期間 |
退職予定者も在籍中は年次有給休暇を取得できます。退職日より後へ取得日を変更することはできないため、残日数を早めに確認し、引き継ぎの日程とあわせて相談することが大切です。
退職願や退職届は職場の書式に従う
口頭で退職の意思を伝えた後、退職願や退職届の提出を求められることがあります。
施設独自の書式がある場合は、指定された書類を使用します。書式がない場合でも、提出先や必要な記載内容を確認してから作成しましょう。
一般的には、次の内容を記載します。
- 提出日
- 退職希望日
- 退職理由
- 所属部署
- 氏名
- 宛名
退職理由は、通常であれば**「一身上の都合により」**という記載で対応できます。
書類を提出したら、自分用の控えや写真を残しておくと、退職日や提出日を後から確認できます。
利用者さんの情報は書面で引き継ぐ
介護職の退職では、担当業務だけでなく、利用者さんごとの注意点も引き継ぐ必要があります。
引き継ぎ内容の例は次のとおりです。
- 移乗介助の方法
- 食事形態や食事介助時の注意点
- 排泄パターンや使用している用品
- 入浴時の注意事項
- 認知症症状がある時の関わり方
- 家族との連絡で注意すること
- 拒否がある時に有効な声かけ
- 委員会や係の進捗状況
- 行事準備や物品発注の状況
ただし、利用者さんの介助方法や医療的な対応は、個人の経験だけで決めるものではありません。介護記録やケアプラン、看護師やリハビリ職などの指示と照らし合わせて引き継ぎましょう。
引き継ぎのポイント
「自分しか知らない情報」を残さないことが大切です。
口頭だけで終わらせず、職場のルールに沿って記録や引き継ぎ表に残しましょう。
同僚や利用者さんへ伝える時期は上司と相談する
退職を正式に伝えた後でも、自分の判断ですぐに同僚や利用者さんへ話すのは避けます。
人員配置や後任者が決まっていない段階で情報が広がると、現場が混乱することがあるためです。
特に利用者さんは、親しくしていた職員が辞めると知って不安になる場合があります。認知症のある利用者さんの場合は、伝える時期や表現に配慮が必要になることもあります。
上司へ次のように確認しましょう。
周囲への報告前に確認すること
「ほかの職員への報告は、いつ頃にすればよいでしょうか」
「担当している利用者さんやご家族には、どのようにお伝えしますか」
利用者さんや家族への説明は、施設の方針に従って進めることが大切です。
退職を言い出しにくい・引き止められる時の対処法
人手不足でも退職の意思と希望日は変えない
介護現場では、人手不足を理由に引き止められることがあります。
- 「今辞められると夜勤が回らない」
- 「後任が決まるまで待ってほしい」
- 「ほかの職員へ迷惑がかかる」
- 「担当の利用者さんが困る」
- 「せめて次の新人が入るまで続けてほしい」
このように言われると、責任を感じて退職を撤回したくなるかもしれません。
しかし、人員の採用や配置を決めるのは職場側の役割です。引き継ぎに協力することは必要ですが、後任者が決まるまで無期限に働き続ける必要はありません。
人手不足を理由に引き止められた時の例
「ご迷惑をおかけすることは理解していますが、〇月末で退職する意思は変わりません。退職日までにできる限り引き継ぎを進めます」
相手の事情は理解しながらも、退職希望日は曖昧にしないようにしましょう。
配置転換や夜勤免除を提案された時は目的を考える
退職理由が夜勤、身体介助、人間関係などの場合、上司から次のような提案を受けることがあります。
- 別のユニットへ異動する
- 夜勤回数を減らす
- 日勤のみへ変更する
- パート勤務へ切り替える
- 担当業務を変更する
- 一定期間休職する
提案を受けること自体は悪いことではありません。条件が変われば働き続けられると感じるなら、内容を具体的に確認してから判断してもよいでしょう。
一方、退職の意思が固まっている場合は、その場の雰囲気で承諾しないことが大切です。
「考えておきます」と返すと、退職の話が保留になったと受け取られる可能性があります。
退職の意思が変わらない時
「ご提案いただきありがとうございます。ただ、退職の意思は固まっているため、予定どおり手続きを進めたいです」
上司が退職の話を受け付けない時は記録を残す
直属の上司へ何度伝えても話を聞いてもらえない場合は、相談した日時や内容を記録します。
記録しておきたい内容は次のとおりです。
- 退職を伝えた日
- 伝えた相手
- 希望した退職日
- 相手から言われた内容
- 面談を断られた日時
- 提出した書類の写し
- メールやメッセージの履歴
そのうえで、施設長や法人本部、人事担当者など、上位の責任者へ申し出ます。
口頭で受け付けてもらえない場合は、書面や記録が残る方法で退職の意思を伝えることも検討します。
期間の定めがない契約では、会社の承諾がなければ絶対に退職できないというものではありません。厚生労働省の案内でも、退職の申し入れから原則2週間で契約が終了するという民法上の考え方が示されています。
ただし、個別の契約内容や退職方法によって判断が変わる可能性があります。話がこじれている時は、一人で判断せず、公的な労働相談窓口や法律の専門家へ相談しましょう。
心身が限界なら円満退職だけを優先しない
退職日まで迷惑をかけずに働きたいと考えるのは自然です。しかし、次のような状態が続いている場合は、円満さよりも自分の安全を優先する必要があります。
- 出勤前になると動悸や吐き気がある
- 夜眠れない状態が続いている
- 仕事中に涙が出る
- 食事が取れない
- 強い腰痛や身体症状がある
- 上司から暴言や威圧を受けている
- 利用者さんへ安全な介助を行う自信がない
- 自分を傷つけたい気持ちがある
無理を続けると、自分だけでなく利用者さんの安全にも影響する可能性があります。
まず医療機関を受診し、勤務を続けられる状態か専門家へ確認してください。緊急性がある場合は、欠勤や休職、有給休暇の利用なども含めて、早めに職場へ相談しましょう。
退職代行などのサービスを利用する前には、運営者や対応範囲、費用を確認する必要があります。職場との交渉が必要な場合は、弁護士や労働組合など、法的に対応できる相談先かどうかも確かめましょう。
退職を円満に進めるために避けたい行動
連絡をせず突然出勤しなくなる
退職を言い出せないからといって、連絡をせず突然出勤しなくなるのは避けましょう。
介護職は、職員が一人欠けるだけでも、入浴介助や食事介助、夜勤配置などに影響が出ることがあります。利用者さんの安全にも関わります。
通常の手続きが難しい事情がある場合でも、少なくとも職場へ退職の意思を伝え、記録を残す方法を考えます。
ただし、暴力や深刻なハラスメントなど、出勤することで身の危険がある場合は別です。自分だけで職場へ行かず、家族や専門機関へ相談してください。
退職を伝える前に職場の不満を広める
退職前に、同僚へ職場や上司への不満を話し続けると、本人の意図とは関係なくトラブルへ発展することがあります。
特に、SNSへの投稿には注意が必要です。
施設名や利用者さんの名前を書いていなくても、勤務場所や出来事から職場が特定される可能性があります。利用者さんや家族に関する情報を投稿すると、守秘義務や個人情報の問題にもつながります。
退職理由に強い不満があっても、相談する相手と場所を選びましょう。
利用者さんや家族へ転職先を詳しく話す
退職のあいさつをする時に、利用者さんや家族から転職先を聞かれることがあります。
しかし、転職先の施設名や個人的な連絡先を安易に伝えるのは避けたほうがよいでしょう。
現在の職場と転職先の規定に触れる可能性があるほか、退職後も個人的な相談や連絡を受け、関係が曖昧になることがあります。
退職のあいさつは、次のように簡潔に伝えます。
利用者さんへのあいさつ例
「このたび退職することになりました。これまでありがとうございました。これからもお元気でお過ごしください」
利用者さんが不安にならないよう、後任者や今後の支援については職場側から説明してもらいましょう。
返却物や必要書類を確認せず退職する
退職日が決まったら、職場へ返す物と受け取る書類を整理します。
退職前の確認チェックリスト
□ 制服やエプロンを返却する
□ 職員証や名札を返却する
□ ロッカーや施設の鍵を返却する
□ 健康保険証などの扱いを確認する
□ 離職票が必要か伝える
□ 源泉徴収票の送付先を確認する
□ 雇用保険被保険者証を確認する
□ 年金手帳など預けた書類がないか確認する
□ 退職金制度の有無を確認する
□ 最終給与の支給日を確認する
転職先が決まっている場合でも、源泉徴収票などが必要になります。
退職後に住所が変わる予定があるなら、書類の送付先も忘れずに伝えておきましょう。
介護職を辞める時は伝える順番と意思の明確さが大切
基本の順番は直属の上司から管理者へ進む
介護職を辞める時は、まず直属の上司へ伝えます。
一般職員であればユニットリーダーや主任、リーダー職であれば介護長や管理者など、日常的に指示を受けている相手が基本です。
その後、職場の指示に従って、施設長や法人本部へ退職願・退職届を提出します。
ただし、直属の上司からハラスメントを受けている場合や、退職の話を受け付けてもらえない場合は、その上の管理職や人事担当者へ相談してもかまいません。
退職日までの予定を整理してから伝える
上司へ話す前に、最低限、次の内容を整理しておきましょう。
- 退職したい理由
- 退職希望日
- 最終出勤日の希望
- 有給休暇の残日数
- 引き継ぐ必要がある業務
- 返却する物
- 転職先への入職予定日
準備をしておくと、引き止められた時にも話がぶれにくくなります。
特に、次の職場が決まっている場合は、現在の職場の都合だけで退職日を大幅に変えると、入職日に影響する可能性があります。
退職を伝える前の最終確認
□ 就業規則の申し出期限を確認した
□ 直属の上司が誰か確認した
□ 退職希望日を決めた
□ 契約期間の有無を確認した
□ 有給休暇の残日数を確認した
□ 面談で伝える内容を整理した
□ 引き継ぎが必要な業務を書き出した
誠実な対応と我慢し続けることは別
円満退職のためには、余裕を持って申し出て、引き継ぎや貸与品の返却へ誠実に対応することが大切です。
しかし、円満に辞めることと、職場から求められるまま退職を延期し続けることは同じではありません。
人手不足やシフトの都合を理解しつつも、退職の意思が固まっているなら、自分の希望を明確に伝えましょう。
体調不良やハラスメントなど、通常の進め方が難しい事情がある場合は、一人で抱え込まず、法人本部や公的な労働相談窓口、医療機関、法律の専門家などへ相談してください。
この記事のまとめ
・介護職を辞める意思は、基本的に直属の上司へ最初に伝える
・主任やリーダーを飛ばして施設長へ伝えるのは、特別な事情がある時にする
・同僚へ先に話すと、正式な申し出前にうわさが広がる可能性がある
・退職時期は就業規則を確認し、可能なら1〜2か月前を目安に相談する
・退職の意思が固まっている時は、希望日と意思を曖昧にしない
・人手不足を理由に、後任者が決まるまで無期限に退職を延ばす必要はない
・心身が限界の場合は、円満さだけを優先せず専門機関へ相談する


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