介護職として働き始めたものの、先輩から強い口調で責められたり、質問を無視されたりすると、出勤すること自体が怖くなることがあります。
「新人だから我慢するしかない」「自分の仕事が遅いから嫌われたのかもしれない」と考えてしまう人もいるでしょう。
介護現場では、利用者さんの安全に関わるため、ミスを防ぐための厳しい指導が必要になる場面もあります。しかし、指導と新人いじめは同じではありません。人格を否定する、必要な情報を教えない、特定の新人だけを無視するといった行為まで我慢する必要はありません。
大切なのは、自分を責め続けるのではなく、起きていることを整理し、安全に働ける方法を考えることです。
この記事では、介護職で新人いじめが起こりやすい原因や、つらいときの具体的な対処法、今の職場を続けるか判断する基準について解説します。
この記事でわかること
・介護職の新人いじめにあたる可能性がある行為
・厳しい指導と嫌がらせを見分ける考え方
・介護現場で新人への攻撃が起こりやすい原因
・つらい状況から自分を守るための対応
・上司や外部へ相談するときの準備
・異動や退職を検討してよい判断基準
介護職の新人いじめとはどのような状態なのか
新人として注意を受けること自体は珍しくありません。介護職では、移乗介助、排泄介助、服薬に関する確認、利用者さんへの声かけなど、安全や尊厳に関わる業務が多いからです。
一方で、業務上の指導という言葉では片づけられない行為もあります。まずは、今受けている対応が教育の範囲なのか、それとも新人いじめに近いものなのかを整理してみましょう。
人格を否定する言葉を繰り返される
仕事上のミスを指摘する場合、本来は「何が問題だったのか」「次からどうすればよいのか」を具体的に伝える必要があります。
ところが、新人いじめが起きている職場では、業務の内容ではなく、新人本人の性格や能力を攻撃する言葉が使われることがあります。
たとえば、次のような言葉です。
- 「こんなこともできないの」
- 「介護職に向いていない」
- 「本当に使えない」
- 「何回言っても分からない人だね」
- 「あなたがいると仕事が増える」
- 「辞めたほうがいいんじゃない」
一度だけ感情的な言葉が出たからといって、すぐに新人いじめだと断定できるわけではありません。しかし、複数回にわたって人格を傷つけられている場合は、単なる指導とは考えにくくなります。
利用者さんやほかの職員の前で繰り返し侮辱される場合も、我慢を続ける必要はありません。
必要な仕事を教えず失敗すると責められる
新人には、職場独自のルールや利用者さんごとの介助方法が分かりません。
食事形態、移乗方法、排泄パターン、認知症の症状への対応、記録の入力方法などは、職場によって異なります。そのため、最初は先輩職員から説明を受けながら覚える必要があります。
それにもかかわらず、次のような対応をされる場合は注意が必要です。
- 質問しても「自分で考えて」と教えてもらえない
- 申し送りの重要な情報を伝えてもらえない
- 新人だけ業務マニュアルを見せてもらえない
- 説明を受けていない仕事を突然任される
- やり方を確認すると不機嫌な態度を取られる
- 教えられていない方法で失敗すると強く責められる
介護職では、情報共有が不十分だと利用者さんの安全にも影響します。新人を困らせるために情報を与えない行為は、個人間の問題だけではありません。
見過ごさないための視点
新人への情報共有を意図的に止める行為は、本人を傷つけるだけでなく、事故や介助ミスにつながる可能性があります。
利用者さんの安全に関わる情報が得られない場合は、自己判断で介助を進めず、リーダーや看護師などに確認しましょう。
無視や仲間外れが続いている
挨拶を返さない、会話に入れない、休憩中に自分だけ避けられるといった状態も、新人にとって大きな負担になります。
単に忙しくて返事がなかった、一度だけ会話に入りにくかったという場合もあるため、個々の場面だけで判断するのは難しいでしょう。
しかし、次のような状態が続いている場合は、職場内で意図的に孤立させられている可能性があります。
- 自分の挨拶だけ返してもらえない
- 必要な業務連絡を回してもらえない
- 自分だけ会議や申し送りから外される
- ほかの新人には話すのに自分には話しかけない
- 自分が近づくと会話をやめられる
- 休憩や行事の連絡を自分だけ知らされない
職員同士が無理に仲良くする必要はありません。それでも、仕事に必要な挨拶や情報共有まで拒まれているのであれば、業務上の問題として相談してよい状況です。
特定の新人だけ不公平な扱いを受ける
職場の状況によって、担当業務に多少の差が出ることはあります。ただし、新人だけに負担の大きい仕事を集中させる行為が続く場合は注意が必要です。
たとえば、次のようなケースです。
| 起きていること | 確認したいポイント |
|---|---|
| 新人だけ入浴介助が連続する | 教育目的か、単なる押しつけか |
| 新人だけ休憩に入れない | 人員配置上の偶然か、繰り返されているか |
| 排泄介助を一人に集中させる | ほかの職員と分担されているか |
| 急な残業を毎回頼まれる | 断ったときに不利益を受けるか |
| 新人だけ失敗を大勢の前で責められる | 同じミスをした職員との扱いに差があるか |
負担の大きな業務を経験することが、教育の一部になる場合もあります。しかし、説明や支援がなく、嫌がらせのように繰り返されているのであれば、正当な教育とはいえません。
介護現場で新人いじめが起こりやすい原因
新人いじめが起きたとしても、新人本人に原因があるとは限りません。職場の人員配置や教育体制、先輩職員の余裕のなさなど、組織側の問題が関係していることもあります。
原因を知ることは、いじめを正当化するためではありません。「自分が悪いから仕方がない」と思い込まないために、背景を整理しておきましょう。
人手不足で先輩職員に余裕がない
介護現場では、限られた人数で食事介助、排泄介助、入浴介助、記録、コール対応などを進めることがあります。
忙しい時間帯に新人へ一から説明する余裕がなく、先輩職員が焦りや苛立ちを抱えている職場もあるでしょう。その結果、質問した新人に強い口調で答えたり、説明を省いたりすることがあります。
ただし、人手不足は、新人を怒鳴ったり無視したりしてよい理由にはなりません。
新人教育まで現場職員だけに丸投げされているのであれば、教育担当者個人だけでなく、管理者や施設全体の体制にも問題があります。
教育方法が決まっていない
新人教育の手順が整っていない職場では、教える職員によって説明が変わります。
昨日の先輩から教わった方法で介助したところ、今日の先輩から「やり方が違う」と怒られることもあります。新人は誰の指示に従えばよいのか分からなくなり、自信を失いやすくなります。
教育体制が不十分な職場には、次のような特徴があります。
- 指導担当者が決まっていない
- 新人用の業務表がない
- 独り立ちの基準が明確ではない
- 職員ごとに介助方法が異なる
- 質問先が決まっていない
- 振り返り面談が行われない
- 入職直後から一人で対応させられる
このような環境では、新人の努力だけで問題を解決するのは難しくなります。
覚えておきたいこと
教わる人によって指示が変わる場合、新人の覚え方だけが問題とは限りません。
「誰の方法を基準にすればよいですか」とリーダーや管理者に確認し、職場内の手順を統一してもらうことが必要です。
昔ながらの上下関係が残っている
介護職の中には、「自分も新人時代に厳しくされた」「見て覚えるのが当たり前」と考える人もいます。
そのため、新人が質問すると「そんなことも分からないのか」と責めたり、わざと大変な業務を経験させたりする場合があります。
しかし、自分が過去に受けたつらい指導を、次の新人にも繰り返す必要はありません。
特に、身体介助や認知症対応は、見よう見まねだけでは利用者さんを危険にさらす可能性があります。分からないことを確認する姿勢は、介護職として必要なものです。
職場内の派閥や人間関係に巻き込まれる
新人が入職すると、職場内の職員から「どちら側につくのか」を見られることがあります。
特定の職員と話しているだけで別の職員から避けられたり、上司への不満に同意しなかったことで距離を置かれたりするケースもあります。
新人には職場内の事情が分からないため、知らないうちに派閥へ巻き込まれることもあるでしょう。
入職直後は、特定の人の悪口や噂話に深く関わらず、業務上必要なやり取りを丁寧に行うことが大切です。ただし、距離を取ったことで攻撃されるようになったとしても、新人の責任ではありません。
新人が反論しにくい立場だと思われている
入職したばかりの新人は、仕事の流れや職場の人間関係を十分に把握していません。また、試用期間中であることを気にして、強く言い返せない人もいます。
一部の職員は、その立場の弱さを利用して、仕事を押しつけたり、感情のはけ口にしたりすることがあります。
特に、次のような新人は我慢を重ねやすいため注意が必要です。
- 迷惑をかけたくない気持ちが強い
- 頼まれると断れない
- 自分の失敗を必要以上に責める
- 相手の機嫌を優先してしまう
- 転職回数を増やしたくないと考えている
- 新人は厳しくされて当然だと思っている
真面目に仕事へ向き合うことは大切です。しかし、耐えることだけが介護職としての努力ではありません。
新人いじめがつらいときに自分を守る行動
新人いじめを受けていると、相手を刺激しないように我慢したり、もっと仕事を頑張れば認めてもらえると考えたりしがちです。
しかし、心身に大きな負担がかかっている場合は、仕事を覚えることより先に、自分を守る必要があります。
起きたことを事実として記録する
相談する際は、「なんとなく嫌われている気がする」という説明だけでは、状況が伝わりにくいことがあります。
そのため、嫌がらせや不適切な指導を受けたときは、できる範囲で記録を残しましょう。
記録には、次の内容を含めます。
- 日付と時間
- 場所
- 相手の名前
- 言われた言葉やされた行為
- その場にいた職員
- 業務への影響
- 利用者さんへの影響
- 上司へ報告したか
- 報告後にどのような対応があったか
感情を書くことも悪くありませんが、まずは事実を具体的に記載することが大切です。
たとえば、「先輩にひどく怒られた」だけではなく、「7月10日午前9時ごろ、食堂で、説明を受けていない配膳方法について『何度言えば分かるの。使えない』と言われた。その場に職員Aさんがいた」のように残します。
記録するときの注意
利用者さんの氏名や病状など、職場の個人情報を私物の端末へ詳しく保存すると、情報管理上の問題になる可能性があります。
利用者さんを特定できない形にするなど、勤務先のルールに配慮してください。
危険な介助は一人で進めない
いじめを受けていると、「また質問したら怒られる」と思い、分からないまま介助を進めてしまうことがあります。
しかし、移乗介助、服薬に関する業務、食事介助、医療的な対応などは、誤った判断が利用者さんの事故につながる可能性があります。
質問しづらい状況でも、次のように伝えて確認しましょう。
- 「安全に介助するため、移乗方法をもう一度確認させてください」
- 「この利用者さんは二人介助でよいでしょうか」
- 「昨日と指示が違うため、リーダーに確認してから対応します」
- 「自己判断では難しいので、看護師に確認します」
- 「一人では安全を確保できないため、応援をお願いします」
相手が不機嫌になることより、利用者さんと自分の安全を優先してください。
信頼できる職員を一人見つける
職場全体から嫌われているように感じても、実際には一部の職員から強く当たられているだけの場合があります。
相談できそうな職員がいれば、「最近困っていることがある」と伝えてみましょう。
相談相手として考えられるのは、次のような人です。
- 新人教育担当者
- フロアリーダー
- 主任や介護長
- 施設長や管理者
- 別の勤務帯で一緒になる先輩
- 看護師や生活相談員
- 同時期に入職した職員
- 法人の人事担当者
相談するときは、相手の悪口を中心にするのではなく、業務上どのように困っているかを伝えると状況を理解してもらいやすくなります。
たとえば、「質問すると怒鳴られるため、利用者さんの介助方法を確認できず困っています」「必要な申し送りを自分だけ受けられないことがあります」と説明します。
相手と二人きりになる場面を減らす
強く責めてくる職員と二人きりになると、言動を証明しにくくなります。また、精神的な負担も大きくなります。
可能であれば、次のような工夫を考えましょう。
- 質問はほかの職員がいる場所でする
- 指示を受けた内容を復唱して確認する
- 重要な指示は記録や連絡ノートで確認する
- 面談には第三者の同席を求める
- 二人介助が必要な業務は必ず応援を呼ぶ
- 勤務配置を一時的に変更できないか相談する
相手と直接話し合うことで改善する場合もありますが、すでに威圧的な言動が続いている場合は、無理に一対一で解決しようとしないほうが安全です。
今すぐ確認したいチェックリスト
□ 出勤前に動悸や吐き気が出ていないか
□ 怒られるのが怖くて必要な質問を避けていないか
□ 利用者さんの安全に必要な情報を得られているか
□ 相談できる上司や同僚が一人でもいるか
□ 嫌がらせの日時や内容を記録しているか
□ 睡眠や食事に大きな影響が出ていないか
□ 自分だけで解決しようとしていないか
上司に相談しても改善しない場合の進め方
新人いじめを上司へ相談しても、「新人のうちは仕方がない」「気にしすぎではないか」と流されることがあります。
一度の相談で改善しなかったとしても、自分の受け止め方だけが問題だと決めつける必要はありません。相談先や伝え方を変えることも検討しましょう。
相談するときは希望する対応も伝える
相談では、つらかった出来事だけでなく、職場にどのような対応をしてほしいのかも伝えると話が進みやすくなります。
希望する対応の例には、次のようなものがあります。
- 指導担当者を変更してほしい
- 一定期間、勤務を重ならないようにしてほしい
- 介助方法を職場内で統一してほしい
- 第三者を交えて話し合いたい
- 別のフロアへの異動を検討してほしい
- 新人教育の進み具合を面談で確認してほしい
- 必要な情報が全員へ共有される仕組みを作ってほしい
「相手を辞めさせてほしい」と最初から求めるよりも、まずは安全に勤務できる具体的な環境を求めたほうが、対応につながる場合があります。
上司へ相談するときの伝え方
「〇月頃から、質問すると大声で責められることが続いています。最近は確認することが怖くなり、利用者さんの安全にも影響しないか不安です。指導担当者の変更か、第三者を交えた面談をお願いできないでしょうか」
相談した事実も残しておく
口頭だけで相談すると、後になって「そのような話は聞いていない」と言われる可能性があります。
相談した日、相手、伝えた内容、返答された内容を記録しておきましょう。職場のルール上問題がなければ、面談後に要点をメールなどで確認する方法もあります。
たとえば、次のように残します。
「本日の面談では、指導時の強い言葉と情報共有について相談しました。今後は指導担当を調整し、1週間後に状況を確認するとのお話でした」
これにより、相談内容と職場の対応を整理しやすくなります。
施設内で難しければ法人の窓口へ相談する
直属の上司が加害行為をしている場合や、管理者が問題を取り合わない場合は、施設内だけで解決するのが難しいことがあります。
法人に次のような窓口があるか確認してみましょう。
- 法人本部の人事部
- コンプライアンス相談窓口
- ハラスメント相談窓口
- 内部通報窓口
- 産業医や健康相談窓口
- 労働組合
就業規則や職員向けの資料、法人のホームページなどに相談窓口が記載されている場合があります。
相談するときは、記録した日時や発言、これまで施設内で相談した経緯を整理して伝えます。
外部の相談機関を利用する方法もある
職場内や法人内で改善が期待できない場合は、外部の相談窓口を利用する選択肢もあります。
労働に関する相談窓口、自治体の相談窓口、法律の専門家などに状況を説明し、今後の対応について助言を受ける方法があります。
ただし、どの行為が法的に問題となるかは、発言の内容、回数、証拠、職場の対応などによって判断が異なります。退職、損害賠償、労災などを検討する場合は、自己判断だけで進めず、専門窓口へ確認したほうが安心です。
また、不眠、食欲低下、強い不安、動悸などが続いている場合は、仕事の相談とは別に医療機関へ相談することも考えてください。
新人いじめがある職場を続けるか判断する基準
「短期間で辞めたら根性がないと思われる」「転職先が見つからないかもしれない」と不安になり、つらくても退職を決断できない人もいます。
しかし、すぐに辞めるか我慢して続けるかの二択だけで考える必要はありません。相談、担当変更、異動、休職、転職活動など、段階的に選択肢を検討できます。
相談後に職場が動いてくれるかを見る
問題が起きたことだけでなく、相談後に職場がどう対応したかも重要な判断材料です。
働き続けられる可能性がある職場では、次のような対応が期待できます。
- 話を途中で否定せず聞いてくれる
- 関係する職員から状況を確認する
- 指導担当者や勤務配置を調整する
- 新人への情報共有方法を見直す
- 一定期間後に再度面談を行う
- 相談したことを理由に不利益な扱いをしない
- 利用者さんの安全への影響も確認する
一方で、「あなたにも原因がある」「介護職なら普通」と言われるだけで、具体的な対応がない場合は注意が必要です。
相談後に嫌がらせが悪化したり、相談内容を職場内で言いふらされたりする場合も、安心して働ける環境とはいえません。
自分の心身に出ている変化を確認する
仕事を続けるか判断するときは、「まだ出勤できているから大丈夫」と考えるのではなく、心身の変化を確認することが大切です。
次のような状態が続いていないか振り返ってみましょう。
- 出勤前に涙が出る
- 休日も職場のことばかり考える
- 夜に眠れない
- 食欲が大きく落ちている
- 動悸や吐き気が出る
- ミスへの恐怖で頭が真っ白になる
- 自分には価値がないと感じる
- 利用者さんへ穏やかに接する余裕がない
- 事故を起こすのではないかと強く不安になる
こうした状態がある場合は、単に「仕事に慣れていないだけ」と決めつけないでください。
休養や受診が必要かどうかは、症状や状況によって異なります。つらさが強い場合は、早めに医療機関や専門窓口へ相談しましょう。
職場を変えれば介護職を続けられる可能性もある
今の職場で新人いじめを受けたからといって、介護職そのものに向いていないとは限りません。
同じ介護職でも、職場によって教育体制や人間関係は大きく異なります。
たとえば、次のような違いがあります。
| 今の職場でつらい点 | 転職時に確認したい条件 |
|---|---|
| 教えてもらえない | 新人研修や指導担当者の有無 |
| 質問すると怒られる | 質問先や振り返り面談の仕組み |
| 業務量が多すぎる | 職員配置と一日の担当人数 |
| 身体介助が集中する | 介助の分担方法や利用者さんの介護度 |
| 夜勤が不安 | 夜勤開始時期と同行回数 |
| 人間関係が閉鎖的 | 職場見学時の職員同士の様子 |
転職活動では、求人票の「未経験歓迎」という言葉だけで判断しないことが大切です。
面接や見学で、実際の教育方法や新人の定着状況を確認しましょう。
転職前に聞いておきたい質問
「新人の指導担当者は決まっていますか?」
「独り立ちまで、どのように業務を覚えていきますか?」
「入職後の面談はどのくらいの頻度でありますか?」
「介助方法について職員間で統一していることはありますか?」
「夜勤は入職後いつ頃から始まりますか?」
「職場見学で実際の勤務風景を見ることはできますか?」
退職を考えてよい状態
次のような状況では、異動や退職を現実的に検討してよいでしょう。
- 複数回相談しても改善されない
- 上司自身がいじめに関わっている
- 必要な情報を得られず事故の危険がある
- 暴言や威圧的な行為が繰り返される
- 相談後に嫌がらせが悪化した
- 心身の調子を崩している
- 職場へ行くことに強い恐怖を感じる
- 法人内にも相談先がない
- 利用者さんへの安全な介護が難しくなっている
退職は、いじめを受けた人が負けることではありません。自分の生活や健康、安全を守るための選択です。
ただし、すぐに退職すると生活費や転職活動に影響する場合もあります。可能であれば、雇用契約、就業規則、残っている有給休暇、退職手続きなどを確認し、相談先を利用しながら進めましょう。
新しい職場で同じ悩みを繰り返さないために
新人いじめを受けると、「次の職場でも同じことが起きるのではないか」と不安になることがあります。
すべての人間関係を入職前に見抜くことはできません。それでも、求人票、面接、職場見学から、教育を大切にしている職場かどうかを確認することはできます。
職場見学では職員の表情と会話を見る
施設の設備が新しいかどうかだけでなく、働いている職員の様子を確認しましょう。
見るポイントは次のとおりです。
- 職員同士が挨拶をしているか
- 忙しい場面でも声を掛け合っているか
- 利用者さんへの言葉遣いが丁寧か
- 新人らしい職員が一人で困っていないか
- 質問した職員に対して威圧的ではないか
- 管理者が現場の状況を把握しているか
- 職員の表情が極端に疲れていないか
見学者が来る時間だけ職場の雰囲気を整えている可能性もあるため、一つの場面だけで判断することはできません。それでも、違和感がある場合は理由を整理しておきましょう。
新人教育の内容を具体的に聞く
「研修があります」と言われても、その内容が動画を見るだけなのか、先輩職員が同行してくれるのかでは大きく違います。
面接では、次の点を具体的に確認します。
- 入職初日の流れ
- 指導担当者の有無
- 業務チェック表の有無
- 排泄介助や入浴介助を始める時期
- 独り立ちまでの目安
- 夜勤へ入るまでの期間
- 夜勤の同行回数
- 定期面談の有無
- 困ったときの相談先
質問に対して「現場に任せています」「そのときの人員次第です」と曖昧な回答しかない場合は、教育体制が整っていない可能性があります。
離職率だけでなく退職理由も確認する
新人がすぐに辞めている職場では、教育方法や人間関係に問題がある可能性があります。
ただし、離職率が高いからといって、必ずしも新人いじめがあるとは限りません。施設の新規開設、雇用形態、地域の採用事情なども関係します。
面接で直接的に聞きにくい場合は、次のように質問するとよいでしょう。
- 「未経験で入職した方は、どのくらい在籍していますか」
- 「最近入職した方は、どのように仕事を覚えていますか」
- 「職員の平均勤続年数を教えていただけますか」
- 「新人がつまずきやすい業務には、どのような支援がありますか」
質問に対して誠実に説明してくれるかどうかも、職場選びの判断材料になります。
違和感を無視して入職を急がない
人手不足の職場では、面接当日に採用を伝えられ、すぐに勤務開始を求められることもあります。
早く仕事を決めたい状況でも、次のような違和感がある場合は慎重に考えましょう。
応募先の確認リスト
□ 面接で職員の悪口を聞かされなかったか
□ 新人教育について具体的な説明があったか
□ 職場見学を断られなかったか
□ 質問したときに面倒そうな態度を取られなかったか
□ 業務内容と勤務条件を書面で確認できたか
□ すぐ夜勤へ入るよう求められていないか
□ 退職者が多い理由を曖昧にされていないか
□ 求人票と面接で説明された条件が一致しているか
一つ当てはまっただけで、必ず避けるべき職場とは限りません。しかし、複数の不安が残る場合は、ほかの求人と比較してから決めるほうが安心です。
まとめ|新人いじめは一人で耐え続けなくてよい
介護職の新人は、仕事を覚える途中で注意を受けたり、厳しい指導を受けたりすることがあります。
しかし、人格を否定する言葉、必要な情報を与えない行為、継続的な無視、不公平な業務の押しつけなどは、単なる新人指導では片づけられません。
「自分が仕事をできないから悪い」と考える前に、いつ、誰から、何をされたのかを整理しましょう。そのうえで、信頼できる上司や法人の相談窓口へ伝えることが大切です。
相談しても状況が変わらず、心身の不調や事故の危険がある場合は、異動や退職を検討してもかまいません。今の職場が合わないことと、介護職そのものに向いていないことは別です。
この記事のまとめ
・厳しい指導と新人いじめは同じではない
・人格否定や意図的な情報不足を我慢する必要はない
・人手不足や教育体制の不備が背景にある場合もある
・嫌がらせの日時や内容は事実として記録する
・分からない介助を怒られるのが怖いまま進めない
・相談後に職場が具体的に動くかを確認する
・改善されず心身に影響があるなら異動や退職を検討してよい
新人だからといって、どのような扱いにも耐えなければならないわけではありません。
利用者さんへ安全な介護を提供するためにも、職員が安心して質問し、必要な情報を共有できる環境が必要です。自分だけで抱え込まず、相談先を変えながら、無理なく働ける場所を探していきましょう。


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