介護職の新人で辞めたいと思うのは普通?つらい時に確認したい原因と判断基準

積み重なった石と開いたノートの奥に、静かな施設廊下を歩く新人職員が見える風景 1-4.新人・初出勤の悩み

介護職の新人として働き始めたばかりなのに、もう辞めたいと感じている。

そんな自分に対して、「甘えているのかな」「向いていないのかな」「まだ新人なのに辞めたいなんて早すぎるのでは」と責めてしまう人もいるかもしれません。

介護職は、人の生活に深く関わる仕事です。やりがいがある一方で、覚えることが多く、身体的にも精神的にも負担を感じやすい仕事でもあります。特に新人の時期は、業務に慣れていないうえに、職場の人間関係や利用者さんへの対応にも気を使うため、つらく感じるのは珍しいことではありません。

大切なのは、「辞めたい」と思った自分をすぐに否定することではなく、なぜ辞めたいのか、今のつらさは時間とともに軽くなるものなのか、それとも職場環境に問題があるのかを整理することです。

この記事でわかること

・介護職の新人が辞めたいと思いやすい理由
・新人のつらさと職場の問題を分けて考える方法
・辞めたい気持ちが一時的なものか見極めるポイント
・続ける前に職場で確認したいこと
・無理を続けない方がよいケース
・辞めるか続けるか迷った時の判断基準

  1. 介護職の新人が辞めたいと思うのは珍しいことではない
    1. 新人の時期は「できないこと」が目立ちやすい
    2. 「向いていない」と決めつけるには早い場合もある
    3. 介護職は「慣れれば楽」と簡単には言えない
  2. 新人が辞めたいと感じやすい主な原因
    1. 覚えることが多すぎて自信をなくしている
    2. 先輩や職員との関係がつらい
    3. 身体介護への不安や抵抗感が強い
    4. 「思っていた介護職」と現場のギャップが大きい
  3. 辞めたい気持ちを整理するために見るポイント
    1. いつから辞めたいと思うようになったか
    2. つらい原因が「仕事」か「職場」かを分ける
    3. 体調や生活に影響が出ていないか確認する
    4. 相談した時の職場の反応を見る
  4. 続ける前に試したい現実的な対処法
    1. 辞めたい理由を紙に書き出してみる
    2. 相談する時は「辞めたい」だけでなく原因も伝える
    3. 仕事を覚える順番を小さくする
    4. 休日に回復できる働き方かを見る
  5. 辞めるか続けるかを判断するための基準
    1. もう少し続ける余地があるケース
    2. 退職や転職を考えた方がよいケース
    3. 「辞める=介護職に向いていない」ではない
    4. 退職を決める前に確認しておきたいこと
  6. 次の職場を考えるなら新人が確認したいこと
    1. 「未経験歓迎」だけで安心しない
    2. 面接では教育体制を具体的に聞く
    3. 職場見学では職員の表情と声かけを見る
    4. 介護職を続けるなら働き方を変える選択もある
  7. 介護職の新人で辞めたい時は、自分を責めすぎず原因を見極めよう
    1. 新人のつらさは「努力不足」だけでは説明できない
    2. 相談して変わる職場なら続ける選択もある
    3. 変わらない職場で無理を続ける必要はない

介護職の新人が辞めたいと思うのは珍しいことではない

新人の時期は「できないこと」が目立ちやすい

介護職の新人は、最初からスムーズに動けなくて当然です。

排泄介助、入浴介助、移乗介助、食事介助、記録、申し送り、ナースコール対応など、覚えることはたくさんあります。しかも、ただ手順を覚えればよい仕事ではありません。

利用者さんの状態は一人ひとり違います。歩行が不安定な人、認知症がある人、皮膚が弱い人、食事中にむせやすい人など、それぞれ注意点があります。

そのため、新人のうちは、

・何を優先すればいいかわからない
・言われたことをすぐ忘れてしまう
・先輩の動きについていけない
・利用者さんへの声かけに迷う
・記録や申し送りがうまくできない

と感じやすくなります。

これは、能力がないからではなく、まだ仕事全体の流れが頭の中でつながっていない段階だからです。

「向いていない」と決めつけるには早い場合もある

新人の時期に辞めたいと思うと、「自分は介護職に向いていないのかもしれない」と考えがちです。

しかし、入職してすぐの段階では、自分の適性よりも、環境の影響を強く受けます。

たとえば、同じ介護職でも、

状況感じやすい負担
教育担当がつかない何を聞けばいいかわからず不安になる
人手不足が強い新人でもすぐ戦力扱いされる
忙しい時間帯に放置されるミスが怖くなり動けなくなる
先輩の言い方がきつい質問すること自体が怖くなる
業務量が多すぎる仕事を覚える前に疲れ切ってしまう

このような職場では、どれだけ真面目な新人でも「辞めたい」と感じやすくなります。

つまり、辞めたい理由が「自分の向き不向き」だけとは限りません。職場の教育体制や人員配置、先輩の関わり方が原因になっていることもあります。

介護職は「慣れれば楽」と簡単には言えない

介護職は慣れることで楽になる部分があります。

利用者さんの名前や特徴、業務の流れ、職員同士の動き方がわかってくると、最初よりも落ち着いて動けるようになります。

ただし、「慣れれば全部大丈夫」と簡単に考えるのも危険です。

介護職には、身体的な負担もあります。移乗介助や入浴介助が続けば腰や肩に負担がかかりますし、認知症対応や看取り、急変時の対応など、精神的に重く感じる場面もあります。

そのため、つらさの原因が新人だからなのか、職場環境や仕事内容そのものが合っていないのかを分けて考えることが大切です。

まず整理したいこと

新人で辞めたいと思うこと自体は、決して特別なことではありません。
ただし、その理由を見ないまま我慢し続けると、心身の不調につながることがあります。

新人が辞めたいと感じやすい主な原因

覚えることが多すぎて自信をなくしている

介護職の新人がつまずきやすい原因の一つは、覚えることの多さです。

介護の仕事は、見た目以上に細かい判断が必要です。

同じ「トイレ誘導」でも、利用者さんによって声かけの仕方、歩行介助の位置、使う福祉用具、転倒リスク、排泄パターンが違います。

同じ「食事介助」でも、姿勢、食事形態、とろみ、むせ込み、食べるペース、服薬の有無などを確認する必要があります。

新人のうちは、先輩から次々に説明されても、すべてを一度に覚えるのは難しいです。

その結果、

・また同じことを聞いてしまった
・メモを取ったのに見返す余裕がない
・注意された内容が頭から離れない
・自分だけ成長していない気がする

と落ち込みやすくなります。

しかし、介護職は短期間ですべて覚える仕事ではありません。最初は「完璧に覚える」よりも、「確認しながら安全に動く」ことの方が大切です。

先輩や職員との関係がつらい

介護職の新人が辞めたいと感じる原因として、人間関係はとても大きいです。

介護現場はチームで動くため、先輩職員、看護師、ケアマネジャー、リハビリ職、調理職、送迎職員など、さまざまな人と関わります。

特に新人は先輩に質問しながら仕事を覚えるため、職場の雰囲気が悪いと大きなストレスになります。

たとえば、

・質問すると嫌な顔をされる
・人によって教え方が違う
・ミスを強い口調で責められる
・陰で悪く言われている気がする
・忙しそうで声をかけづらい

このような状態が続くと、仕事そのものよりも「職場に行くこと」がつらくなります。

もちろん、介護現場は忙しいため、先輩に余裕がない場面もあります。しかし、新人が安心して確認できない職場は、ミスや事故のリスクも高くなります。

質問しにくい雰囲気は、新人だけの問題ではなく、職場全体の課題でもあります。

身体介護への不安や抵抗感が強い

介護職では、排泄介助、入浴介助、清拭、更衣介助、移乗介助など、利用者さんの身体に直接関わる業務があります。

未経験から入った新人の場合、最初は戸惑うのが自然です。

排泄介助では、利用者さんの羞恥心に配慮しながら手早く安全に対応する必要があります。入浴介助では、転倒や体調変化に気をつけながら介助します。移乗介助では、自分の腰を守りながら利用者さんを安全に支える必要があります。

最初から自然にできる人ばかりではありません。

・どこまで手伝ってよいのかわからない
・利用者さんに失礼にならないか不安
・排泄介助に強い抵抗感がある
・入浴介助で転倒させないか怖い
・移乗介助で腰を痛めそうで不安

こうした不安がある場合は、自己判断で進めず、必ず先輩や上司に確認することが大切です。医療的な判断が関わる場面では、看護師や専門職への確認も必要です。

注意したい場面

介助に不安がある時に、無理に一人で対応しようとすると、利用者さんの安全にも自分の身体にも負担がかかります。
不安な介助ほど、同行・確認・振り返りをお願いしましょう。

「思っていた介護職」と現場のギャップが大きい

介護職に入る前は、「人の役に立てる仕事」「高齢者とゆっくり関われる仕事」というイメージを持っていた人もいるかもしれません。

もちろん、介護職にはそうした面もあります。

しかし実際の現場では、ゆっくり会話する時間ばかりではありません。食事、排泄、入浴、移動、記録、掃除、洗濯、コール対応など、時間に追われる場面も多いです。

特に人手不足の職場では、利用者さん一人ひとりに丁寧に関わりたいと思っても、業務に追われて理想通りにできないことがあります。

このギャップが大きいと、

・もっと寄り添える仕事だと思っていた
・流れ作業のように感じてつらい
・利用者さんに申し訳なくなる
・忙しすぎて自分の気持ちが追いつかない

と感じることがあります。

これは、介護職への気持ちが弱いからではありません。むしろ、丁寧に関わりたい気持ちがある人ほど、現場の忙しさに苦しくなることがあります。

辞めたい気持ちを整理するために見るポイント

いつから辞めたいと思うようになったか

辞めたい気持ちを整理する時は、まず「いつからそう思うようになったのか」を振り返ってみましょう。

入職初日からずっとつらいのか、特定の業務が始まってからつらいのか、特定の先輩と関わるようになってからつらいのかで、原因は変わります。

たとえば、

辞めたいと思うタイミング考えられる原因
出勤前になると強くつらい人間関係や職場への不安
入浴介助の日だけ憂うつ身体的負担や介助への不安
注意された後から落ち込む指導方法や自己否定感
夜勤の話が出てから不安生活リズムや責任への不安
休日も仕事のことが離れない心身の疲労が強い可能性

このように、辞めたい気持ちにはきっかけがあります。

「とにかく全部嫌」と感じている時でも、少し分解すると、対処できる部分が見えてくることがあります。

つらい原因が「仕事」か「職場」かを分ける

介護職を辞めたいと思った時は、仕事そのものが合わないのか、今の職場が合わないのかを分けて考えることが大切です。

たとえば、利用者さんと関わること自体は嫌ではないけれど、先輩が怖い、質問できない、業務量が多すぎるという場合は、介護職そのものより職場環境の問題かもしれません。

反対に、排泄介助や身体介護への抵抗感が強く、どうしても続けるのが苦しい場合は、介護職の仕事内容との相性を考える必要があります。

整理の視点

・利用者さんと関わること自体は嫌ではないか
・介助業務への抵抗感は慣れで軽くなりそうか
・質問できる先輩や相談できる上司はいるか
・職場の忙しさは一時的なものか慢性的なものか
・休みの日に回復できているか

この整理をせずに「自分は介護に向いていない」と決めてしまうと、本当は職場を変えれば続けられた可能性を見落としてしまうことがあります。

体調や生活に影響が出ていないか確認する

辞めたい気持ちを考える時、精神論だけで判断しないことも大切です。

新人のうちは、緊張や疲れで多少眠りが浅くなったり、食欲が落ちたりすることはあります。しかし、それが長く続く場合は注意が必要です。

たとえば、

・朝になると動悸や吐き気がある
・眠れない日が続いている
・食欲が明らかに落ちた
・休日も涙が出る
・仕事のことを考えると強い不安が出る
・ミスが怖くて頭が真っ白になる
・腰痛や肩の痛みが悪化している

このような状態がある場合は、「新人だから我慢する」と考えすぎない方がよいです。

心身の不調が強い時は、上司や信頼できる人に相談し、必要に応じて医療機関や専門機関に相談することも検討しましょう。

体調を崩してまで続けることが、必ずしも正しいわけではありません。

相談した時の職場の反応を見る

辞めるか続けるか迷った時は、相談した時の職場の反応も重要な判断材料になります。

新人が「この業務が不安です」「まだ一人で対応するのが怖いです」「もう少し教えてほしいです」と伝えた時、職場がどう受け止めるかで、その後の働きやすさは大きく変わります。

相談した時に、

・同行を増やしてくれる
・業務の順番を調整してくれる
・教育担当を決めてくれる
・質問しやすい時間を作ってくれる
・ミスの原因を一緒に振り返ってくれる

このような対応がある職場なら、今はつらくても改善の余地があります。

一方で、

・「新人なんだから我慢して」と流される
・不安を伝えても一人でやらされる
・質問すると責められる
・ミスだけを強く責められる
・相談内容が職場内で悪く広まる

このような職場では、新人が安心して成長するのは難しくなります。

続ける前に試したい現実的な対処法

辞めたい理由を紙に書き出してみる

辞めたい気持ちが強い時は、頭の中だけで考えると不安が膨らみやすくなります。

まずは、今つらいことを紙やスマホのメモに書き出してみましょう。

たとえば、

・排泄介助が怖い
・先輩に質問しづらい
・記録が遅くて残ってしまう
・利用者さんの名前を覚えられない
・入浴介助の日は体力的にきつい
・怒られるのが怖くて動けない

このように具体的に書くと、「全部無理」ではなく、「どの部分が特につらいのか」が見えやすくなります。

さらに、書き出した内容を次のように分けると整理しやすいです。

つらいこと自分で工夫できること職場に相談したいこと
名前を覚えられない座席表や特徴メモを作る覚える期間を相談する
移乗介助が怖い手順を復習するもう一度同行してもらう
記録が遅いよく使う表現をメモする記録の書き方を確認する
先輩が怖い質問内容を短くまとめる教育担当に相談する

辞めるかどうかをすぐ決める前に、対処できることと、自分だけでは変えられないことを分けることが大切です。

相談する時は「辞めたい」だけでなく原因も伝える

上司や先輩に相談する時、いきなり「辞めたいです」と伝えると、話が退職前提で進んでしまうことがあります。

もちろん、本当に限界なら退職の相談も必要です。ただ、まだ迷っている段階なら、「何がつらいのか」を具体的に伝えた方が改善につながりやすくなります。

たとえば、次のように伝えるとよいでしょう。

相談する時の伝え方

「まだ業務の流れを覚えきれておらず、特に排泄介助と記録に不安があります。もう一度、手順を確認する時間をいただけますか?」

「移乗介助を一人で行うのがまだ怖いです。安全面が不安なので、もう少し同行していただくことは可能でしょうか?」

「質問したいことがあるのですが、忙しい時間帯がわからず声をかけるタイミングに迷っています。確認しやすい時間はありますか?」

このように伝えると、職場側も対応を考えやすくなります。

介護現場では、安全に関わる不安を隠す必要はありません。利用者さんの安全を守るためにも、不安な業務ほど早めに確認する姿勢が大切です。

仕事を覚える順番を小さくする

新人が辞めたいと感じる時は、仕事を一気に覚えようとしていることがあります。

介護職は、最初から全体を完璧に把握しようとすると苦しくなります。

まずは、覚える範囲を小さくすることが大切です。

たとえば、

・利用者さんの名前と顔を少しずつ覚える
・よく関わる利用者さんの注意点から覚える
・朝の流れ、昼の流れ、夕方の流れに分ける
・排泄介助の手順を利用者さんごとに整理する
・申し送りでよく出る言葉をメモする

このように、仕事を分解すると少しずつ前に進みやすくなります。

新人の覚え方のコツ

□ すべてを一度に覚えようとしない
□ 「今日覚えること」を1〜2個に絞る
□ メモはきれいさより見返しやすさを優先する
□ わからないことはその日のうちに確認する
□ 注意された内容は「次にどうするか」に変える
□ 利用者さんごとの注意点は必ず職員に確認する

特に介助方法は、自己流で覚えるのではなく、職場の手順や利用者さんの状態に合わせる必要があります。迷った時は、必ず先輩や看護師、リハビリ職などに確認しましょう。

休日に回復できる働き方かを見る

新人の時期は疲れて当然ですが、休日にまったく回復できない状態が続く場合は注意が必要です。

介護職は体力も気力も使う仕事です。休みの日に少し疲れが残る程度なら珍しくありませんが、休日も仕事の不安でいっぱいになり、何もできない状態が続くなら、働き方を見直す必要があります。

確認したいのは、次のような点です。

・シフトが体力に合っているか
・残業が多すぎないか
・休憩がきちんと取れているか
・夜勤開始が早すぎないか
・入浴介助や移乗介助が連続しすぎていないか
・休日に睡眠や食事が取れているか

新人の場合、頑張ろうとして無理を隠してしまうことがあります。しかし、疲れが強いまま働くと、集中力が落ち、介助中の事故やミスにもつながりやすくなります。

自分の体力に合わせて働けるかどうかは、介護職を続けるうえでとても重要です。

辞めるか続けるかを判断するための基準

もう少し続ける余地があるケース

介護職の新人で辞めたいと思っても、すぐに退職を決めなくてよいケースもあります。

たとえば、次のような場合です。

続ける余地があるサイン

□ 利用者さんと関わること自体は嫌ではない
□ 相談できる先輩や上司が一人でもいる
□ つらい業務が具体的にわかっている
□ 教育や同行をお願いできる可能性がある
□ 少しずつできることが増えている実感がある
□ 休日にある程度回復できている

このような場合は、今のつらさが「新人の時期特有の負担」である可能性があります。

もちろん、無理に続ける必要はありません。ただ、環境を調整したり、覚える範囲を小さくしたりすることで、少しずつ働きやすくなる場合もあります。

特に入職して間もない時期は、まだ職場の流れや利用者さんの特徴が見えていないため、不安が大きくなりやすいです。

退職や転職を考えた方がよいケース

一方で、我慢を続けない方がよいケースもあります。

次のような状態が続く場合は、退職や転職を現実的に考えてもよいでしょう。

無理を続けない方がよいサイン

□ 体調不良が続いている
□ 出勤前に強い吐き気や動悸がある
□ 相談しても改善されない
□ 新人なのに危険な介助を一人で任される
□ 質問すると強く責められる
□ 休憩が取れない状態が続いている
□ 人手不足を理由に教育がほとんどない
□ 利用者さんの安全よりスピードを優先させられる

特に、介助に不安があるのに一人で対応させられる、事故につながりそうな場面でも確認できない、体調を崩しているのに休めないという場合は注意が必要です。

介護職は責任のある仕事です。だからこそ、新人を育てる環境がない職場で無理を続けることは、自分にとっても利用者さんにとっても安全とは言えません。

「辞める=介護職に向いていない」ではない

新人で退職を考えると、「短期間で辞めたら次に不利になるのでは」「介護職に向いていないと思われるのでは」と不安になるかもしれません。

しかし、今の職場を辞めることと、介護職そのものを諦めることは同じではありません。

介護職は、施設形態や職場によって働き方が大きく変わります。

たとえば、特別養護老人ホーム、有料老人ホーム、グループホーム、デイサービス、訪問介護、サービス付き高齢者向け住宅など、それぞれ業務内容や忙しさ、利用者さんとの関わり方が違います。

今の職場では合わなくても、別の職場では働きやすくなる人もいます。

大切なのは、「辞めたい」と感じた経験を次にどう活かすかです。

・教育体制がある職場を選ぶ
・夜勤開始時期を確認する
・職場見学で雰囲気を見る
・身体介護の量を確認する
・新人への同行期間を聞く
・質問しやすい体制があるか確認する

このような点を押さえることで、次の職場選びで失敗しにくくなります。

退職を決める前に確認しておきたいこと

退職を決める前には、感情だけで動かず、できる範囲で整理しておくことをおすすめします。

もちろん、心身が限界の場合は早めに距離を取ることも必要です。ただ、まだ考える余裕があるなら、次の点を確認してみましょう。

確認すること見るポイント
相談先上司、教育担当、信頼できる先輩がいるか
改善の余地業務調整や同行追加が可能か
体調睡眠、食欲、気分、身体の痛みはどうか
退職理由仕事内容か、人間関係か、教育不足か
次の働き方介護職を続けるか、別職種も考えるか
生活面退職後の収入や転職活動の見通し

退職は悪いことではありません。ただ、勢いだけで辞めると、後から不安が大きくなることもあります。

自分を守るためにも、できる範囲で準備してから判断しましょう。

次の職場を考えるなら新人が確認したいこと

「未経験歓迎」だけで安心しない

求人に「未経験歓迎」と書かれていても、それだけで安心はできません。

未経験歓迎には、丁寧に育てる体制がある職場もあれば、人手不足でとにかく応募してほしい職場もあります。

そのため、求人を見る時は、言葉だけでなく中身を確認することが大切です。

求人で確認したいポイント

□ 新人研修の内容が書かれているか
□ 同行期間について説明があるか
□ 夜勤開始時期が明記されているか
□ 資格取得支援があるか
□ 介護記録や業務手順を教える体制があるか
□ 職員の人数やシフト体制が極端に少なくないか

「未経験歓迎」と書いてあるから大丈夫ではなく、未経験者をどう育てる職場なのかを確認することが重要です。

面接では教育体制を具体的に聞く

次の職場を探す場合、面接では遠慮せず教育体制について聞きましょう。

聞き方を工夫すれば、失礼にはなりません。むしろ、介護職では安全に働くために必要な確認です。

面接で聞きたい質問

「新人の場合、最初はどの業務から担当しますか?」
「独り立ちまでに同行期間はありますか?」
「排泄介助や入浴介助は、どのように教えていただけますか?」
「夜勤がある場合、開始時期はいつ頃ですか?」
「わからないことを確認できる担当者は決まっていますか?」
「入職後の研修や振り返りの機会はありますか?」

この質問に対して、具体的に答えてくれる職場は、新人への関わり方がある程度整理されている可能性があります。

反対に、「やりながら覚えてもらいます」「みんなそうしているので大丈夫です」だけで説明が少ない場合は、慎重に考えた方がよいでしょう。

職場見学では職員の表情と声かけを見る

可能であれば、応募前や面接時に職場見学をお願いしてみましょう。

職場見学では、きれいな建物かどうかだけでなく、職員の様子を見ることが大切です。

確認したいのは、次のような点です。

・職員が利用者さんにどんな声かけをしているか
・忙しい中でも乱暴な対応になっていないか
・新人らしき職員が孤立していないか
・職員同士の会話がきつすぎないか
・フロアが極端に慌ただしくないか
・利用者さんの表情が落ち着いているか

もちろん、短時間の見学だけですべてはわかりません。

それでも、職員の声かけや雰囲気から見えることはあります。特に新人でつらい経験をした人は、次の職場で「質問しやすそうか」「人を責める雰囲気が強すぎないか」を見ておくと安心です。

介護職を続けるなら働き方を変える選択もある

介護職を辞めたいと思った時、必ずしも介護業界を完全に離れる必要はありません。

働き方を変えることで続けやすくなる場合もあります。

たとえば、

働き方向いている可能性がある人
デイサービス夜勤が不安、生活リズムを整えたい人
グループホーム少人数の利用者さんと関わりたい人
有料老人ホーム施設ごとの差を確認しながら選びたい人
訪問介護一対一の支援に関心がある人
パート勤務体力や家庭とのバランスを見たい人

ただし、どの働き方にも大変さはあります。デイサービスでも送迎や入浴介助がありますし、グループホームでも認知症対応の難しさがあります。訪問介護では一人で判断する場面もあるため、未経験者は研修や同行体制の確認が必要です。

「今の働き方が合わない」と感じた時は、介護職そのものを否定する前に、施設形態や勤務条件を変える選択肢も考えてみましょう。

介護職の新人で辞めたい時は、自分を責めすぎず原因を見極めよう

新人のつらさは「努力不足」だけでは説明できない

介護職の新人で辞めたいと思うと、自分の努力が足りないように感じるかもしれません。

しかし、新人のつらさは努力不足だけでは説明できません。

教育体制、職場の人員、先輩の教え方、業務量、利用者さんの状態、シフトの組み方など、さまざまな要素が関係しています。

もちろん、仕事を覚える努力は必要です。メモを取る、復習する、確認する、同じミスを減らす工夫をすることは大切です。

ただし、新人が安全に仕事を覚えられる環境を整えることも、職場側の大切な役割です。

自分だけを責め続けるのではなく、「何がつらいのか」「どこなら改善できるのか」を冷静に見ていきましょう。

相談して変わる職場なら続ける選択もある

辞めたい気持ちがあっても、相談によって環境が変わる職場なら、もう少し続けてみる選択もあります。

たとえば、同行を増やしてもらえる、苦手な業務を段階的に教えてもらえる、質問しやすい先輩をつけてもらえるなど、具体的な改善があるなら、新人の不安は少しずつ軽くなる可能性があります。

介護職は、できることが増えるまで時間がかかる仕事です。

最初は不安だった排泄介助や移乗介助も、手順を確認しながら経験を重ねることで、少しずつ落ち着いて対応できるようになることがあります。

ただし、それは安全に学べる環境がある場合です。

変わらない職場で無理を続ける必要はない

一方で、相談しても何も変わらない職場もあります。

新人が不安を伝えても放置される、危険な介助を一人で任される、質問すると責められる、体調不良を訴えても聞いてもらえない。

このような環境で無理を続ける必要はありません。

介護職は、利用者さんの生活を支える大切な仕事です。しかし、そのために働く人が壊れてしまってよいわけではありません。

自分の心身を守ることも、長く働くためには大切です。

この記事のまとめ

・介護職の新人が辞めたいと思うことは珍しくない
・辞めたい理由は、自分の適性だけでなく職場環境も関係する
・覚えることの多さ、人間関係、身体介護への不安は新人がつまずきやすい部分
・相談して教育や同行が増える職場なら、続ける余地がある
・体調不良が続く、相談しても改善されない場合は無理を続けない
・辞めるか続けるかは、原因を整理してから判断することが大切

介護職の新人で辞めたいと思った時に、まず必要なのは「我慢すること」ではありません。

自分の気持ちを整理し、つらさの原因を見つけ、相談できるところに相談することです。

そのうえで、今の職場で改善できるなら少しずつ続ける。改善が難しく、心身に影響が出ているなら、退職や転職を考える。

どちらを選んでも、あなたが弱いということではありません。

介護職は、職場によって働きやすさが大きく変わります。新人の今つらいからといって、すべての介護職が合わないとは限りません。

自分を責めすぎず、安全に学べる環境か、無理なく続けられる働き方かを基準に考えていきましょう。

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