介護職を辞めたいと思っていても、職場が人手不足だと、「自分が辞めたら現場が回らなくなる」「利用者さんや同僚に迷惑をかけてしまう」と考えてしまうことがあります。
退職を上司へ伝えても、「今は人が足りないから待ってほしい」「次の職員が入るまでは辞められない」と引き止められ、退職を諦めてしまう人もいるでしょう。
しかし、人手不足を理由に、介護職員が無期限に働き続けなければならないわけではありません。職員を確保し、無理なく運営できる体制を整えることは、基本的には事業者側の役割です。
大切なのは、突然出勤しなくなるのではなく、雇用契約や就業規則を確認したうえで、退職の意思を明確に伝え、必要な手続きを進めることです。
この記事では、介護職を辞めたいけれど人手不足で辞められないと感じている人に向けて、罪悪感を整理する考え方や、引き止められたときの対応、現実的な退職手順を解説します。
この記事でわかること
・人手不足でも介護職を退職してよい理由
・人手不足の職場で罪悪感を抱きやすい背景
・退職を伝える前に確認しておくこと
・上司から引き止められたときの対応方法
・迷惑を最小限にする引き継ぎの進め方
・どうしても辞めさせてもらえない場合の相談先
人手不足でも介護職を辞めることはできる
人員を確保する責任まで職員個人が背負う必要はない
介護現場では、一人の職員が退職するだけで、シフトの調整が難しくなることがあります。
早番や遅番、夜勤を担当できる職員が限られている職場では、退職者が出ることで、残った職員の負担が一時的に増えることもあるでしょう。
そのため、真面目な人ほど「この状態で辞めるのは無責任ではないか」と悩みます。
しかし、職員の採用や配置、勤務体制の整備は、基本的には施設や事業所が考えるべき問題です。一人の職員が辞めただけで運営できなくなる状態を、その職員だけの責任にすることはできません。
職員が退職する可能性を見込みながら、採用活動や人員配置、業務の見直しを行うことも事業運営の一部です。
責任感を持って働くことは大切ですが、施設全体の人手不足まで自分一人で背負う必要はありません。
人手不足は退職を禁止する理由にはならない
期間の定めがない雇用契約では、民法上、労働者は退職の意思を示すことができ、原則として意思表示から2週間で雇用契約が終了するとされています。
ただし、実際の退職手続きでは、就業規則に「退職日の1か月前までに申し出る」などの定めが設けられていることがあります。まずは雇用契約書と就業規則を確認し、できる範囲で職場の手続きに沿って進めることが現実的です。
一方、契約社員や期間限定のパートなど、契約期間が決まっている有期雇用では、契約途中の退職について扱いが異なる場合があります。
有期雇用で契約満了前に辞めたい場合は、雇用契約書を確認し、職場や労働相談窓口などに相談しながら進めた方が安心です。
確認ポイント
「人手不足だから辞められない」という説明と、雇用契約上の退職手続きは分けて考えましょう。
人手が足りないことだけを理由に、退職時期を何度も先延ばしにされる場合は注意が必要です。
限界を超えて働き続ける方が大きな問題につながる
無理をして働き続けると、心身の不調だけでなく、介護中の判断や確認にも影響が出る可能性があります。
例えば、疲労や集中力の低下が続くと、次のような場面で不安が生じやすくなります。
・服薬介助や配薬時の確認
・移乗介助や歩行介助
・入浴介助中の安全確認
・利用者さんの体調変化への対応
・介護記録や申し送り
・夜勤中の巡視やナースコール対応
介護職は、利用者さんの生活や安全に関わる仕事です。
限界を超えて働き続けることが、必ずしも利用者さんや職場のためになるとは限りません。
眠れない、食欲がない、出勤前に動悸がする、涙が出る、ミスが増えたなどの変化がある場合は、退職手続きより先に休養や受診が必要なこともあります。
心身の症状が強いときは、自己判断で我慢せず、医療機関や職場の相談窓口へ相談しましょう。
人手不足の職場で罪悪感を抱きやすい理由
利用者さんを置いていくように感じる
介護職を辞めたい人が罪悪感を抱く大きな理由の一つが、利用者さんとの関係です。
長く担当してきた利用者さんがいると、「自分が辞めたら不安になるのではないか」「最後まで支えるべきではないか」と考えることがあります。
利用者さんやご家族から感謝されている場合は、なおさら退職を言い出しにくくなるでしょう。
しかし、介護サービスは、本来一人の職員だけで支えるものではありません。複数の職員や看護師、ケアマネジャー、生活相談員などが連携して提供するものです。
利用者さんを大切に思う気持ちと、自分の働き方を見直すことは両立します。
退職までに必要な情報を申し送り、支援方法や注意点をチームへ共有すれば、職員としての役割を果たすことはできます。
残る同僚の負担が増えると考えてしまう
人手不足の職場では、誰かが辞めると夜勤回数が増えたり、希望休が取りにくくなったりすることがあります。
自分も退職者が出た後の大変さを経験していると、同僚へ申し訳なさを感じやすくなります。
ただし、同僚への配慮と、自分の人生や健康を守ることは別の問題です。
同僚の負担が増える可能性があるとしても、その状態を改善する責任まで退職する職員が負う必要はありません。
採用を進める、応援職員を配置する、受け入れ人数を調整する、業務内容を見直すといった対応は、管理者や運営法人が検討することです。
考え方を整理するヒント
「同僚へ迷惑をかけたくない」と思うのは、周囲を大切にしてきた証拠です。
ただし、その気持ちを理由に退職時期を決められなくなると、自分自身がさらに追い詰められてしまいます。
上司から責任感を求められて断れなくなる
退職を伝えたとき、上司から次のように言われることがあります。
・「あなたが辞めたら夜勤を組めない」
・「利用者さんのことを考えてほしい」
・「今辞めるのは社会人として無責任だ」
・「せめて次の人が決まるまで待ってほしい」
・「みんな大変なのに、自分だけ辞めるのか」
このような言葉を聞くと、自分が悪いことをしているように感じるかもしれません。
しかし、退職は職場への裏切りではなく、働く人が自分の生活や将来を考えて行う選択です。
退職希望者へ職場の苦しい状況を説明すること自体はありますが、罪悪感を刺激して無期限に退職を延期させる対応には注意が必要です。
上司の感情や職場の事情を理解しつつも、自分の退職意思まで取り下げる必要はありません。
「もっと頑張れば改善するかもしれない」と期待してしまう
人手不足が一時的なものなら、採用によって状況が改善する可能性もあります。
そのため、「あと1か月だけ」「新しい人が入るまで」と退職を延期する人もいます。
ただし、以前から何度も人が辞めている、常に求人を出している、入職してもすぐ辞めるといった職場では、短期間で状況が変わらないこともあります。
次のような状態が続いている場合は、待つ期間を自分の中で決めておくことが大切です。
| 職場の状況 | 確認したいこと |
|---|---|
| 求人を出しているが採用できない | 採用の見込みや応援体制があるか |
| 退職者が続いている | 人間関係や勤務条件に原因がないか |
| 夜勤回数が増えている | いつまで続くのか具体的な説明があるか |
| 休憩や休日が取れない | 管理者が改善に動いているか |
| 業務量だけが増えている | 利用者数や業務内容を調整する予定があるか |
「いつか改善するかもしれない」だけで働き続けるのではなく、具体的な改善計画があるかを確認しましょう。
介護職が退職を伝える前に準備しておくこと
雇用契約書と就業規則を確認する
退職を申し出る前に、次の書類を確認しておきましょう。
・雇用契約書
・労働条件通知書
・就業規則
・給与明細
・有給休暇の残日数がわかる資料
・会社から貸与されている物の一覧
特に確認したいのは、雇用期間と退職の申出期限です。
正社員や無期雇用のパートなのか、契約期間が決まった有期雇用なのかによって、考え方が異なる場合があります。
就業規則が手元にない場合は、上司や事務担当者へ「退職手続きを確認したいので、就業規則を見せてください」と伝えましょう。
退職を伝える前に確認しておくと、上司からその場で質問されたときにも落ち着いて対応できます。
退職前チェックリスト
□ 自分が無期雇用か有期雇用か確認した
□ 就業規則の退職申出期限を確認した
□ 希望する退職日を決めた
□ 有給休暇の残日数を確認した
□ 引き継ぐ業務を書き出した
□ 退職理由を簡潔にまとめた
□ 退職届を提出できるよう準備した
退職希望日を自分の中で決める
退職を伝えるときは、「辞めようと思っています」ではなく、退職希望日を具体的に決めておくことが重要です。
希望日が曖昧だと、上司から「それなら、もう少し続けてほしい」と言われ、話し合いが長引きやすくなります。
例えば、次のように整理します。
・就業規則では退職の1か月前までに申し出る
・有給休暇が10日残っている
・最終出勤日までに2週間の引き継ぎ期間を設ける
・月末を退職日にする
ただし、必ず月末にしなければならないわけではありません。社会保険や転職先の入社日などにも関係するため、自分の状況に合った日を決めましょう。
転職先が決まっている場合は、入社日との間に空白や重複が生じないかも確認が必要です。
退職理由は簡潔にまとめる
退職理由を細かく説明しすぎると、一つずつ反論され、引き止めの材料にされることがあります。
例えば、「夜勤が多いから辞めたい」と伝えると、「夜勤を減らすから残ってほしい」と言われる可能性があります。
人間関係を理由にすると、「配置を変える」「相手へ注意する」と提案されることもあるでしょう。
改善案を受け入れれば続けられる場合は話し合ってもよいですが、退職の意思が固まっているなら、理由は簡潔で構いません。
伝え方の例
「一身上の都合により、〇月〇日をもって退職したいと考えています」
「今後の働き方を考えた結果、退職することを決めました」
「体調と生活の両立が難しいため、〇月末で退職させていただきたいです」
重要なのは、職場への不満をすべて伝えることではなく、退職の意思と希望日を明確に伝えることです。
口頭だけで終わらせず書面を残す
最初は直属の上司へ口頭で相談するのが一般的ですが、退職日が決まったら、退職届などの書面を提出しましょう。
口頭だけでは、「相談を受けただけ」「正式な退職申出ではない」と扱われる可能性があります。
退職届を受け取ってもらえない場合は、いつ、誰に、どのような内容を伝えたのか記録しておくことも大切です。
メールで提出方法を確認したり、書面を配達記録が残る方法で送ったりする対応が必要になる場合もあります。
ただし、職場との関係や雇用契約によって適切な方法は異なります。トラブルになりそうな場合は、労働相談窓口や法律の専門家へ確認しましょう。
「人が足りない」と引き止められたときの対応
「次の人が入るまで」と言われたら期限を決める
上司から「新しい職員が入るまで待ってほしい」と頼まれることがあります。
職場への感謝があり、自分にも余裕があるなら、短期間だけ退職日を調整する選択肢はあります。
ただし、採用時期は自分では決められません。
応募者が来なければ、数か月たっても後任が決まらない可能性があります。そのため、「後任が決まるまで」という条件をそのまま受け入れることは避けた方がよいでしょう。
返答例
「人手不足の状況は理解していますが、〇月〇日以降の勤務は難しいため、退職日の変更はできません」
「引き継ぎにはできる限り協力しますが、後任者の採用まで在籍することは約束できません」
「〇月末までであれば勤務できます。それ以降は退職させてください」
相手の事情を否定する必要はありません。
職場の状況を理解していることを伝えたうえで、対応できる期限をはっきり示しましょう。
「利用者さんに迷惑がかかる」と言われても冷静に考える
介護職にとって、利用者さんを理由に引き止められることは精神的な負担になります。
しかし、一人の退職によって利用者さんへの支援が続けられないのであれば、職場側が人員配置やサービス提供体制を見直す必要があります。
退職する職員ができることは、利用者さんの状態や介助方法、注意点を正確に引き継ぐことです。
例えば、次のような情報を整理しておくとよいでしょう。
・移乗時に注意する姿勢や動作
・食事介助でむせやすい状況
・排泄のタイミングや使用物品
・不安が強くなりやすい場面
・落ち着きやすい声かけ
・ご家族から受けている要望
・事故やヒヤリハットにつながりやすい点
医療的な判断が必要な内容は、自分だけで決めず、看護師や上司、リハビリ職などへ確認しながら共有します。
丁寧に引き継ぎを行えば、「利用者さんを置いて逃げる」のではなく、必要な役割を果たして退職することができます。
退職日の先延ばしを繰り返さない
一度退職日を延期すると、「もう1か月だけ」「次のシフトが完成するまで」と、さらに延期を求められることがあります。
自分が納得して延期するのであれば問題ありませんが、断れないまま延ばし続けると、退職のタイミングを失います。
延期を求められたときは、次の点を考えましょう。
・延期しても心身の状態は保てるか
・新しい退職日を明確に決められるか
・職場に具体的な採用計画があるか
・次の仕事や生活に影響しないか
・自分が本当に延期を望んでいるか
一度応じたからといって、何度も応じる必要はありません。
判断の基準
退職日の変更は、職場の都合だけでなく、自分の健康、生活、転職予定を含めて判断します。
「断ったら嫌われる」という理由だけで延期しないことが大切です。
強い言葉や損害賠償の話をされたときは一人で対応しない
退職を伝えた際に、「急に辞めたら損害賠償を請求する」「二度と介護業界で働けないようにする」などと言われることがあります。
実際にどのような法的問題が生じるかは、雇用契約、退職までの期間、職場へ生じた損害などによって異なるため、一概には判断できません。
ただし、上司の言葉だけを聞いて、すぐに退職を諦める必要はありません。
契約書や就業規則、退職を伝えた記録などを準備し、労働局の相談窓口や弁護士などへ相談しましょう。
厚生労働省の総合労働相談コーナーでは、退職、解雇、雇止め、いじめ、パワーハラスメントなど、幅広い労働問題について、無料で相談を受け付けています。
罪悪感を減らしながら引き継ぎと有給休暇を進める
引き継ぎは「自分しか知らないこと」を優先する
退職前にすべての仕事を完璧に整理しようとすると、通常業務に加えて負担が増えてしまいます。
まずは、自分しか把握していない情報や、利用者さんの安全に関わる内容を優先しましょう。
引き継ぎ内容は、次のように分けると整理しやすくなります。
| 優先度 | 引き継ぐ内容の例 |
|---|---|
| 高い | 利用者さんの安全、事故防止、医療・看護職への連絡事項 |
| 高い | 担当業務の期限、未完了の手続き、ご家族との約束 |
| 中程度 | 日常的な介助方法、本人が落ち着きやすい対応 |
| 中程度 | 委員会、行事、物品管理などの進捗 |
| 低い | 誰でも確認できる一般的な手順や共有済みの情報 |
利用者さんに関する情報を個人のメモや私物へ持ち出すことは避け、職場のルールに沿った方法で共有します。
個人情報の扱いに迷う場合は、管理者や個人情報保護の担当者へ確認してください。
できる範囲を超えて残業や休日出勤を引き受けない
退職前になると、引き継ぎのために残業したり、休日に出勤したりするよう求められることがあります。
必要な引き継ぎには協力した方が円満に退職しやすくなりますが、すべてを無制限に受け入れる必要はありません。
特に、すでに体調を崩している場合や、長時間労働が退職理由になっている場合は注意が必要です。
勤務時間内で引き継ぎの時間を確保できないなら、次のように相談します。
・担当業務の一部をほかの職員へ移す
・引き継ぎ時間をシフト内に設ける
・優先順位の低い業務を減らす
・口頭説明だけでなく一覧表を作る
・複数の職員へ分けて引き継ぐ
上司への相談例
「通常業務を行いながらでは引き継ぎ時間が足りないため、勤務時間内に30分ほど時間を確保していただけますか」
「すべてを一人へ引き継ぐのが難しいため、業務ごとに担当者を決めていただきたいです」
退職まで自分をすり減らすのではなく、職場側にも引き継ぎ体制を整えてもらいましょう。
残っている有給休暇を確認する
退職前に有給休暇が残っている場合は、取得時期について職場と相談します。
退職予定者であっても、在籍中であれば年次有給休暇を請求できます。退職後へ取得時期を変更することはできないため、退職日までの日程を早めに整理することが重要です。
ただし、退職直前に突然すべての有給休暇を申請すると、引き継ぎ日程を調整しにくくなり、職場との話し合いがこじれることがあります。
退職希望日を伝える段階で、次のように相談すると進めやすくなります。
・最終出勤日をいつにするか
・有給休暇を何日取得するか
・引き継ぎ期間をどの程度設けるか
・公休と有給休暇をどう組み合わせるか
・貸与物をいつ返却するか
有給休暇の取得方法について意見が合わない場合は、労働局などの相談窓口へ確認しましょう。
最終日まで必要以上に謝り続けない
退職が決まると、同僚へ申し訳なく感じ、何度も謝ってしまう人がいます。
しかし、謝り続けると、自分が重大な迷惑をかけたような気持ちが強くなってしまいます。
同僚へは、謝罪よりも感謝を伝える方が、前向きに区切りをつけやすくなります。
例えば、次のように伝えます。
「忙しい時期に退職することになり申し訳ありません。これまで助けていただき、ありがとうございました」
「残りの期間で、できる限り引き継ぎを進めます。確認したいことがあれば教えてください」
「一緒に働けたことに感謝しています」
退職によって一時的に負担をかける可能性はありますが、必要な手続きを行い、引き継ぎへ協力しているなら、過度に自分を責める必要はありません。
どうしても辞められないときは外部へ相談する
上司が受け取らない場合はさらに上の責任者へ伝える
直属の上司が退職の話を聞いてくれない、退職届を受け取らない場合は、施設長や法人本部、人事担当者などへ相談します。
相談するときは、感情的な説明だけでなく、事実を時系列で整理すると伝わりやすくなります。
・最初に退職を伝えた日
・伝えた相手
・希望する退職日
・上司から言われた内容
・退職届を提出しようとした日
・体調や勤務への影響
・自分が希望する対応
口頭だけでなく、メールなど記録が残る方法で手続きについて確認することも検討しましょう。
厚生労働省の案内でも、期間の定めのない雇用契約については、会社が同意しなければ一切退職できないというものではないと説明されています。
労働相談窓口や専門家を利用する
職場内で解決が難しい場合は、自分だけで交渉を続けないことが大切です。
相談先としては、次のような窓口があります。
・都道府県労働局の総合労働相談コーナー
・労働基準監督署
・自治体が設けている労働相談
・労働組合
・法テラス
・労働問題を扱う弁護士
相談内容によって適切な窓口は異なります。
単に退職手続きについて確認したい場合と、未払い残業代、パワーハラスメント、脅迫的な引き止めなどがある場合では、必要な対応も変わります。
総合労働相談コーナーでは、相談内容に応じて、助言や指導、あっせん制度などの案内も行っています。
相談するときは、雇用契約書、就業規則、給与明細、勤務表、上司とのメールやメッセージなどを準備しておくと状況を説明しやすくなります。
心身が限界なら退職交渉より休むことを優先する
退職の話をすること自体が怖く、出勤前に吐き気や動悸がする場合は、すでに無理を重ねている可能性があります。
次のような状態が続くときは、早めに医療機関へ相談してください。
・ほとんど眠れない
・食事が取れない
・理由なく涙が出る
・休日も仕事のことしか考えられない
・出勤しようとすると体が動かない
・強い不安や恐怖を感じる
・集中できず事故を起こしそうになる
・自分を傷つけたい気持ちがある
医師から休養が必要と判断された場合は、診断書の提出や休職について職場と相談する方法もあります。
安全に関わる業務を続けることが難しい状態なら、「人手不足だから休めない」と考えず、自分と利用者さん双方の安全を優先しましょう。
緊急性が高い場合や、自分を傷つけるおそれがある場合は、一人にならず、家族や身近な人、医療機関、緊急の相談窓口へ連絡してください。
人手不足への罪悪感より自分の生活を守ることが大切
介護職を辞めたいけれど人手不足で辞められないと感じるのは、責任感がなくなるほど悩んでいるからではありません。
むしろ、利用者さんや同僚のことを大切に考えてきた人ほど、退職に罪悪感を抱きやすくなります。
しかし、職場の人手不足を一人で解決することはできません。
必要な期間を設けて退職意思を伝え、できる範囲で引き継ぎを行えば、職員として果たすべき対応はできます。
この記事のまとめ
・人手不足だけを理由に、介護職が無期限に退職を延期する必要はない
・採用や人員配置、勤務体制の整備は、基本的には事業者側が考える問題である
・退職前に雇用契約、就業規則、申出期限、有給休暇の残日数を確認する
・退職理由は簡潔にし、退職希望日と退職意思を明確に伝える
・後任が決まるまでではなく、自分が対応できる期限を具体的に決める
・利用者さんの安全に関わる情報を優先して引き継ぐ
・退職届を受け取ってもらえない場合は、法人本部や外部の労働相談窓口へ相談する
・心身に不調があるときは、人手不足への罪悪感より休養と安全を優先する
介護職を辞めることは、利用者さんや同僚を見捨てることではありません。
今の施設が合わないだけで、勤務時間や施設形態、業務内容の異なる職場なら無理なく働ける可能性もあります。また、介護職以外の仕事へ進むことも一つの選択です。
周囲の事情だけで退職を諦めず、自分の健康、生活、これからの働き方を含めて退職時期を判断することが大切です。


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