介護職は、利用者さんの生活を支える仕事だからこそ、急な対応や記録、申し送り、欠勤者のフォローなどで残業が発生しやすい場面があります。
しかし、毎回のように残業を頼まれると、「本当は帰りたいけれど断りづらい」「断ったら冷たい人だと思われそう」「人手不足なのに自分だけ帰っていいのかな」と悩んでしまう人も多いです。
介護職で残業を断りたいと思うことは、決してわがままではありません。大切なのは、感情的に拒否するのではなく、理由を整理して、職場に角が立ちにくい形で伝えることです。
この記事では、介護職で残業を断りたい時の考え方、伝え方、注意点、そして残業が多い職場を見直す判断基準について解説します。
この記事でわかること
・介護職で残業を断りたいと思うのは甘えなのか
・角が立ちにくい残業の断り方
・残業を断る前に整理しておきたいこと
・急な残業を頼まれた時の伝え方の例
・断りにくい職場で注意したい対応
・残業が続く職場を見直す判断基準
介護職で残業を断りたいと思うのは甘えではない
残業を断りたい気持ちは自然な反応
介護職で残業を断りたいと感じるのは、珍しいことではありません。
介護の現場では、利用者さんの急な体調変化、ナースコール対応、転倒リスクへの見守り、記録の遅れ、申し送りの延長など、予定通りに仕事が終わらない日があります。
そのため、残業そのものがまったく発生しない職場は少ないかもしれません。
ただし、残業があることと、毎回断れないことは別問題です。
仕事後に予定がある日もあれば、体調が悪い日、家庭の事情がある日、心身の疲れが限界に近い日もあります。そうした状況で「今日は残れません」と伝えることは、働くうえで必要な自己管理でもあります。
特に介護職は、疲労がたまった状態で介助を続けると、集中力が落ちやすくなります。移乗介助、排泄介助、入浴介助、服薬確認の補助、見守りなどでは、職員の疲労が利用者さんの安全に影響することもあります。
「周りに迷惑をかけたくない」と思う気持ちは大切ですが、自分の体調や生活を無視して働き続けることが、必ずしも良い働き方とは限りません。
介護現場で残業が起こりやすい理由
介護職の残業は、単に「仕事が遅いから」発生するとは限りません。
現場では、次のような理由で残業が起こりやすくなります。
・利用者さんの急変や転倒対応があった
・記録を書く時間が勤務中に取れなかった
・申し送りが長引いた
・入浴介助や排泄介助が予定より押した
・欠勤者が出て人手が足りなかった
・夜勤者や遅番者への引き継ぎが終わらなかった
・家族対応や電話対応が重なった
・委員会や会議が勤務後に入っている
介護職は、人を相手にする仕事です。予定表通りにすべてが進むわけではありません。
利用者さんの状態によっては、今すぐ対応しなければならない場面もあります。そのため、多少の時間のずれが出ること自体は、現場の特性として理解しておく必要があります。
一方で、毎日のように残業が前提になっている場合は、個人の努力だけで解決するのは難しいです。人員配置、業務量、記録方法、シフトの組み方、管理者の考え方など、職場全体の問題が関係していることもあります。
「断る=協力しない」ではない
残業を断る時に多くの人が気にするのは、周囲からどう見られるかです。
「協力しない人だと思われるかも」
「みんな残っているのに自分だけ帰りづらい」
「断ったら次から頼まれなくなるかもしれない」
「職場の雰囲気が悪くなりそう」
このように感じる人は少なくありません。
ただ、残業を断ることは、職場に協力しないこととは違います。
普段の勤務時間内にしっかり仕事をすること、必要な申し送りをすること、できる範囲でフォローすることも十分な協力です。
毎回残業を引き受けることだけが、責任感のある働き方ではありません。
大切な考え方
残業を断る時は、「やりたくありません」と突き放すのではなく、
「今日は残れませんが、ここまでは対応します」
「次の勤務者に引き継げるように整理しておきます」
という形にすると、角が立ちにくくなります。
断ることに罪悪感を持ちすぎるよりも、勤務時間内でできることを明確にする意識が大切です。
法律や職場ルールも確認しておく
残業について考える時は、感情だけでなく、労働時間の基本も知っておくと安心です。
労働時間は原則として1日8時間、1週間40時間を超えて働かせてはいけないとされており、時間外労働を行うには36協定などの手続きが関係します。また、労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上の休憩が必要とされています。
36協定では、時間外労働を行う業務の種類や、時間外労働の上限などを定める必要があります。
もちろん、実際に自分の職場でどう扱われているかは、就業規則、雇用契約書、シフト表、勤怠管理の方法によって変わります。
「残業を断れるか」「残業代が出ているか」「残業が命令なのかお願いなのか」が気になる場合は、まず職場のルールを確認しましょう。
不安が大きい場合は、上司や事務担当者、労働相談窓口などに確認することも選択肢です。厚生労働省の総合労働相談コーナーでは、労働条件、いじめ・嫌がらせ、パワハラなどを含む労働問題について相談できます。
角が立ちにくい残業の断り方
最初に感謝や謝意を伝える
介護職で残業を断る時は、言い方がとても大切です。
同じ内容でも、伝え方によって相手の受け止め方は変わります。
たとえば、急に「無理です」とだけ言うと、相手は冷たく感じるかもしれません。
一方で、最初に「声をかけていただいてすみません」「申し訳ありませんが」と添えるだけで、印象はやわらかくなります。
残業を断る時は、次の流れを意識すると伝えやすくなります。
- 声をかけてもらったことへの一言
- 今日は残れない理由
- 勤務時間内でできる対応
- 引き継ぎや代替案
たとえば、次のように伝えます。
伝え方の例
「声をかけていただいてすみません。今日は予定があり、残業が難しいです。今の記録だけ入力して、申し送りできる状態にしてから退勤します。」
このように伝えると、「残業はできないけれど、必要な引き継ぎはする」という姿勢が伝わります。
理由は細かく説明しすぎなくてよい
残業を断る時、「理由を詳しく言わないと納得してもらえないのでは」と不安になる人もいます。
しかし、毎回細かく説明する必要はありません。
家庭の事情、通院、子どもの迎え、家族の介護、体調不良、私用など、仕事後の予定には個人的な内容も含まれます。すべてを職場に詳しく話す必要はありません。
たとえば、次のような言い方で十分な場合もあります。
・「今日は予定があるため、残業は難しいです」
・「家庭の都合で、定時で失礼します」
・「体調があまり良くないため、今日は残らず退勤します」
・「この後外せない用事があるため、申し訳ありません」
大切なのは、嘘を重ねないことです。
毎回違う理由を作っていると、自分もしんどくなりますし、職場から不信感を持たれる可能性もあります。
詳しく話せる内容であれば話してもよいですが、話したくない事情まで無理に説明する必要はありません。
できる範囲をセットで伝える
残業を断る時は、「できません」で終わらせるよりも、できる範囲を一緒に伝えると角が立ちにくくなります。
介護現場では、誰かが残れない場合でも、記録、申し送り、物品補充、片付け、利用者さんの状態共有など、短時間でできることがあります。
たとえば、次のような伝え方です。
・「残業は難しいですが、Aさんの記録だけ先に入力します」
・「定時までに排泄表を確認しておきます」
・「Bさんの状態は夜勤者に直接申し送ります」
・「物品補充だけ済ませてから退勤します」
・「今残っている業務をメモにして引き継ぎます」
このように伝えると、相手も「何を引き継げばよいのか」がわかりやすくなります。
ポイント
残業を断る時は、
「できないこと」だけでなく「できること」も伝えると、協力する姿勢が伝わります。
ただし、毎回「少しだけなら」と引き受けていると、結局残業が当たり前になることもあります。
本当に帰らなければならない日は、無理に長引かせず、「ここまで対応して退勤します」と区切ることも大切です。
曖昧な返事をしない
残業を頼まれた時に、断りづらくて「たぶん大丈夫かもしれません」「少しなら……」と曖昧に答えてしまう人もいます。
しかし、曖昧な返事は後で困りやすいです。
相手は「残ってくれる」と受け取るかもしれませんし、自分も帰るタイミングを失ってしまいます。
特に介護現場では、引き継ぎや人員配置の調整があります。残れるのか、残れないのかがはっきりしないと、次の勤務者やリーダーも判断しにくくなります。
残れない時は、できるだけ早めに伝えましょう。
避けたい言い方
「うーん、たぶん無理かもしれません」
「少しなら大丈夫かもしれないです」
「できたら帰りたいです」
「どうしたらいいですかね……」
このような言い方だと、相手に判断を任せる形になりやすいです。
伝える時は、やわらかく、しかし結論ははっきりさせるのが理想です。
伝えやすい言い方
「申し訳ありません。今日は残業は難しいです」
「今日は定時で退勤させてください」
「この後予定があるため、残らず帰ります」
「勤務時間内でできるところまで対応します」
強い言い方をしなくても、結論を明確にすることはできます。
残業を断る前に整理しておきたいこと
その残業が一時的なものか、毎回なのか
残業を断りたい時は、まず「今回だけの残業なのか」「いつも発生している残業なのか」を分けて考えることが大切です。
たとえば、利用者さんの急変、転倒対応、感染症対応、急な欠勤などで一時的に残業が必要になることはあります。
このような場合は、職場全体で協力しなければならない場面もあるでしょう。
一方で、毎日のように記録が勤務後になる、毎回申し送りが長引く、退勤時間になってから新しい仕事を頼まれる、会議や委員会が勤務後に設定されるという場合は、残業が仕組みとして固定化している可能性があります。
| 残業の状況 | 見るべきポイント |
|---|---|
| 急な欠勤や急変による残業 | 一時的な対応か、頻度が高すぎないか |
| 記録が毎日勤務後になる | 記録時間が業務内に確保されているか |
| 申し送りが長引く | 内容が整理されているか、方法を見直せるか |
| 会議が毎回勤務後にある | 勤務扱いになっているか、残業代が出ているか |
| 退勤直前に仕事を頼まれる | 業務分担やリーダー判断に偏りがないか |
一時的な残業であれば、日によって協力することもあるかもしれません。
しかし、常に残業しないと仕事が終わらない職場では、個人の努力だけでは限界があります。
自分が断りたい理由を整理する
残業を断る前に、自分がなぜ断りたいのかを整理しておくと、伝え方が落ち着きます。
理由がはっきりしていないと、頼まれた瞬間に迷ってしまい、結局引き受けてしまうことがあります。
残業を断りたい理由には、たとえば次のようなものがあります。
・子どもの迎えがある
・家族の介護や通院付き添いがある
・自分の通院予定がある
・睡眠不足や疲労が強い
・体調が悪い
・連日の残業で生活リズムが崩れている
・予定があり帰らなければならない
・残業が続き、精神的にしんどい
どの理由も、働くうえで無視してよいものではありません。
特に介護職は、体力と集中力が必要な仕事です。疲労がたまっている状態で無理を続けると、ミスや事故への不安も大きくなります。
整理しておきたいこと
□ 今日は本当に残れない日か
□ 何時までなら対応できるのか
□ どの業務までなら終えられるのか
□ 誰に引き継げばよいのか
□ 今後も同じ残業が続きそうか
断る時にすべてを説明する必要はありませんが、自分の中で整理しておくと、落ち着いて伝えやすくなります。
退勤前に引き継ぐ内容を明確にする
介護職で残業を断る時に大切なのは、利用者さんの安全に関わる情報をきちんと引き継ぐことです。
残業をしないこと自体が悪いわけではありません。
ただし、必要な情報を伝えずに帰ってしまうと、次の勤務者が困ったり、利用者さんへの対応に影響が出たりすることがあります。
特に次のような内容は、退勤前に確認しておきたいところです。
・転倒リスクが高い利用者さんの様子
・食事量や水分量の変化
・排泄状況
・入浴や更衣で気になった皮膚状態
・体調不良や痛みの訴え
・家族からの連絡内容
・看護師や上司に報告した内容
・未完了の記録や対応
医療的な判断が関わる内容や、体調変化がある場合は、自己判断せず、看護師や上司に報告しましょう。
「残業できないから後はお願いします」ではなく、「ここまでは終わっています。ここから先をお願いします」と伝えると、引き継ぐ側も対応しやすくなります。
残業代や勤怠の扱いを確認する
残業を断りたい背景に、「残業代が出ていない」「記録のために残っているのに勤務扱いにならない」という不満がある場合もあります。
この場合は、単なる断り方だけでなく、勤怠管理の確認が必要です。
たとえば、次のような点を確認しましょう。
・残業申請の方法は決まっているか
・記録作成の時間は労働時間として扱われているか
・会議や委員会は勤務扱いか
・退勤後の申し送りや電話対応はどう扱われるか
・残業をする時は誰の指示が必要か
・タイムカードを切った後に働いていないか
介護職では、「みんなやっているから」「昔からそうだから」という理由で曖昧になっている業務もあります。
しかし、残業が発生しているのに記録されていない状態が続くと、職員側の負担が見えにくくなります。
不安がある場合は、直属の上司だけでなく、事務担当者、施設長、法人の相談窓口などに確認することも考えましょう。
場面別に使える残業の断り方
急に「今日残れる?」と言われた時
介護現場では、退勤間際に急に残業を頼まれることがあります。
欠勤者が出た時、記録が終わっていない時、夕食介助が押している時、夜勤者の出勤が遅れている時などです。
急に頼まれると焦ってしまいますが、残れない日は早めにはっきり伝えましょう。
伝え方の例
「申し訳ありません。今日はこの後予定があり、残業は難しいです。今できるところまで片付けて、申し送りしてから退勤します。」
別の言い方
「今日は家庭の都合で定時退勤が必要です。Aさんの記録と排泄表の確認だけ済ませます。」
ここで大切なのは、「残れません」だけで終わらせないことです。
残業はできないけれど、退勤までにできることを伝えると、相手も調整しやすくなります。
「少しだけ」と頼まれた時
残業を断りにくい言葉の一つが、「少しだけ」です。
「10分だけ」「記録だけ」「あと少しだけ手伝って」と言われると、断るのが申し訳なく感じる人も多いです。
もちろん、本当に10分で終わる内容で、自分が対応できる日なら協力してもよいでしょう。
ただし、毎回「少しだけ」が30分、1時間と伸びている場合は注意が必要です。
伝え方の例
「今日は時間が限られているので、5分以内でできる申し送りだけ対応します。それ以上は残れないため、引き継ぎをお願いします。」
区切りをつける言い方
「申し訳ありません。今日は定時で帰る必要があります。今の内容だけメモに残して退勤します。」
「少しだけ」と言われた時は、対応できる時間を具体的に伝えると、ズルズル残ることを防ぎやすくなります。
人手不足を理由に頼まれた時
介護職で残業を断りづらい理由として、人手不足があります。
「今日、人が足りないから残って」
「あなたが帰ると回らない」
「みんな残っているからお願い」
このように言われると、強いプレッシャーを感じます。
しかし、人手不足は本来、個人の我慢だけで解決するものではありません。
一時的に協力することはあっても、毎回同じ人が残業で穴埋めしている状態は、長く続けるほど負担が偏ります。
伝え方の例
「人手が足りない状況は理解しています。ただ、今日は予定があり残業はできません。必要な申し送りは先に済ませます。」
繰り返し頼まれる時の言い方
「最近残業が続いていて体力的に厳しくなっています。今後の残業について、できる日と難しい日を事前に相談させてください。」
相手の状況を否定せず、自分の限界も伝えることが大切です。
体調不良で残れない時
体調が悪い時に残業を頼まれると、「体調不良くらいで断っていいのかな」と迷う人もいます。
しかし、介護職は身体を使う仕事です。
めまい、頭痛、強い眠気、腰痛、吐き気、発熱、強い疲労感などがある状態で無理をすると、自分だけでなく利用者さんにも影響する可能性があります。
特に移乗介助や入浴介助では、職員の体調不良が事故につながることもあります。
伝え方の例
「申し訳ありません。今日は体調が良くないため、残業はせず退勤します。必要な申し送りだけして帰ります。」
無理を避けたい時
「今日は体調面に不安があり、介助に集中できない可能性があります。残業は控えさせてください。」
体調不良を伝えても無理に残るよう求められる場合は、上司や看護師、管理者に相談しましょう。
急な体調変化がある場合は、自己判断せず、必要に応じて医療機関の受診も検討してください。
残業を断る時に注意したいこと
感情的に言い返さない
残業が続いていると、頼まれた瞬間にイライラしてしまうことがあります。
「またですか?」
「なんで私ばかりなんですか?」
「残業代も出ないのに無理です」
「そんなの知りません」
このように言いたくなる気持ちが出ることもあるでしょう。
ただ、感情的に言い返すと、話し合いではなく対立になりやすくなります。
特に介護現場はチームで動く仕事です。今後も同じ職場で働く場合、伝え方には注意が必要です。
不満がある場合でも、その場でぶつけるのではなく、落ち着いてから相談の時間を作る方がよいです。
言い換え例
「また残業ですか?」
→「最近残業が続いていて、少し負担が大きくなっています。一度相談させてください。」「私ばかり残ってますよね?」
→「残業の担当が偏っているように感じています。今後の分担について確認したいです。」
伝えたい内容は同じでも、言い方を変えるだけで、相手に届きやすくなります。
無断で帰らない
残業を断りたい時でも、無断で帰るのは避けましょう。
もちろん、勤務時間が終わったら帰る権利はあります。
ただし、介護現場では、利用者さんの状態や未完了業務の引き継ぎが必要な場面があります。何も伝えずに帰ると、次の勤務者が困ったり、トラブルにつながったりすることがあります。
退勤する時は、最低限次のことを確認しましょう。
・担当利用者さんの状態を伝えたか
・急変や転倒リスクなど重要事項を報告したか
・記録の未完了部分を共有したか
・リーダーや夜勤者に引き継いだか
・残っている業務を明確にしたか
退勤前の確認
□ 重要な申し送りは済んでいる
□ 利用者さんの安全に関わる情報を伝えた
□ 未完了業務を誰に引き継ぐか決まっている
□ 記録漏れがある場合は共有した
□ 退勤することをリーダーに伝えた
「残業を断ること」と「必要な引き継ぎをしないこと」は別です。
退勤する時ほど、短くてもよいので情報共有を大切にしましょう。
毎回同じ人にしわ寄せがいかないようにする
自分が残業を断ると、別の職員に負担がいくことがあります。
そのため、断る時に「自分だけよければいい」と見える伝え方にならないよう注意しましょう。
ただし、だからといって毎回自分が引き受ける必要はありません。
大切なのは、残業の負担が特定の人に偏らないよう、職場全体で見直すことです。
たとえば、次のような相談ができます。
・残業できる日とできない日を事前に共有する
・記録時間を勤務内に確保できないか相談する
・退勤前の業務分担を見直す
・申し送りの内容を簡潔にする
・会議や委員会の時間を勤務内に調整する
・急な欠勤時の対応ルールを決める
残業の断り方だけで解決しようとすると、個人の我慢比べになりがちです。
「誰が残るか」だけではなく、「なぜ毎回残業になるのか」を考えることも必要です。
断った後の態度も大切にする
残業を断った後に、気まずくなることを心配する人もいます。
たしかに、職場によっては「断った人が悪い」という空気があるかもしれません。
しかし、断った後こそ、普段の勤務態度が大切です。
勤務時間内にできることを丁寧に行う、必要な報告をする、利用者さんへの対応をきちんとする、周囲への声かけを忘れない。
こうした積み重ねがあると、「残業はできない日があるけれど、勤務中はしっかり働く人」と見てもらいやすくなります。
反対に、残業を断った直後に雑な引き継ぎをしたり、不機嫌な態度を取ったりすると、余計に関係が悪くなることがあります。
残業を断ることに罪悪感を持ちすぎる必要はありませんが、チームで働く姿勢は持ち続けることが大切です。
残業が断りにくい職場で見直したいこと
「残業できる人が偉い」空気になっていないか
介護現場によっては、残業できる人が評価されやすい雰囲気があります。
「よく残ってくれる人が助かる」
「定時で帰る人は協力的ではない」
「家庭の事情がない人は残れるはず」
「新人は断らず残るもの」
このような空気があると、残業を断りたい人は強いストレスを感じます。
もちろん、忙しい日に協力してくれる職員は職場にとってありがたい存在です。
しかし、残業できるかどうかは、家庭環境、体調、通勤時間、生活事情によって違います。
残業できる人だけが責任感があるわけではありません。
注意したい職場の空気
・定時退勤する人への陰口がある
・残業を断ると態度を変えられる
・残業できない理由を細かく詮索される
・新人や若手にだけ残業が偏る
・残業代の話をすると嫌な顔をされる
このような状態が続く場合は、自分の伝え方だけでなく、職場の文化そのものを見直す必要があるかもしれません。
残業を断ると不利益がある場合
残業を断ったことで、明らかに不利益な扱いを受ける場合は注意が必要です。
たとえば、次のような状態です。
・必要以上にきつく注意される
・無視される、陰口を言われる
・希望休が通りにくくなる
・シフトで不利な扱いを受ける
・評価を下げるようなことを言われる
・「残れないなら辞めれば」と言われる
このような場合は、我慢だけで解決しようとしない方がよいです。
まずは、いつ、誰に、何を言われたのかをメモしておきましょう。
感情だけで訴えるよりも、具体的な記録がある方が相談しやすくなります。
相談先としては、直属の上司、施設長、法人の人事・相談窓口、労働相談窓口などがあります。
職場内で相談しても改善しない場合や、パワハラのように感じる場合は、外部の相談先を使うことも選択肢です。
残業が多すぎる職場は働き方を見直すサイン
介護職で残業が多い状態が続くと、体力面だけでなく、気持ちの面でも余裕がなくなります。
最初は「少しだけ頑張ろう」と思っていても、残業が続くと、休日に疲れが取れない、家のことができない、睡眠時間が減る、出勤前から憂うつになるといった状態になることがあります。
次のような状態が続く場合は、働き方を見直すサインかもしれません。
・残業が毎日のようにある
・残業を断ると強く責められる
・残業代がきちんと出ているかわからない
・記録や会議が常に勤務後になる
・人手不足が改善される見込みがない
・疲れで介助に集中できない
・休日も仕事のことが頭から離れない
・体調を崩しているのに休みにくい
介護職そのものが合わないのではなく、今の職場の働き方が合っていないだけという場合もあります。
施設形態、シフト体制、記録方法、人員配置、管理者の考え方によって、残業の多さは変わります。
転職を考える前に確認したい求人のポイント
残業が多い職場から転職を考える場合は、求人票の「残業少なめ」だけで判断しないようにしましょう。
求人票には良い面が書かれやすいため、面接や職場見学で具体的に確認することが大切です。
応募前チェックリスト
□ 月平均残業時間はどれくらいか
□ 記録は勤務時間内に書ける体制か
□ 会議や委員会は勤務時間内に行われるか
□ 急な欠勤時のフォロー体制はあるか
□ 残業申請のルールが明確か
□ 夜勤明けや遅番後に残業が発生しやすいか
□ 職員の定着率や離職理由を確認できるか
□ 職場見学で職員が慌ただしすぎないか
面接では、聞き方を工夫すると角が立ちにくいです。
面接で聞きたい質問
「残業は月にどのくらい発生していますか?」
「記録業務は勤務時間内に行う時間がありますか?」
「急な欠勤が出た場合、どのようにシフトを調整していますか?」
「残業が必要な場合は、事前に相談がありますか?」
「会議や委員会は勤務時間内に行われていますか?」
残業をまったくしたくないというよりも、「無理なく働ける環境か確認したい」という姿勢で聞くと、相手にも伝わりやすくなります。
まとめ:残業を断る時は、理由と引き継ぎを整理して伝える
残業を断ることは悪いことではない
介護職で残業を断りたいと思うことは、甘えではありません。
介護の仕事は責任が重く、利用者さんの安全に関わる場面も多いです。だからこそ、自分の体調や生活を守ることも大切です。
無理をして残業を続けた結果、疲労がたまり、介助に集中できなくなってしまっては本末転倒です。
残業を断る時は、「できません」と突き放すのではなく、できる範囲や引き継ぎをセットで伝えると、角が立ちにくくなります。
伝え方を工夫すれば関係を悪くしにくい
残業を断る時の基本は、次の流れです。
・謝意や一言を添える
・残れない理由を簡潔に伝える
・勤務時間内でできることを伝える
・必要な引き継ぎをする
・曖昧にせず、結論ははっきり伝える
たとえば、次のように伝えると自然です。
使いやすい一言
「申し訳ありません。今日は予定があり残業は難しいです。今の記録と申し送りだけ済ませて退勤します。」
このように、残業はできないけれど、仕事を投げ出すわけではないことを伝えると、周囲も受け止めやすくなります。
残業が続くなら職場全体の問題として考える
一時的な残業なら、協力が必要な日もあるかもしれません。
しかし、毎日のように残業がある、断りにくい空気がある、残業代が曖昧、記録や会議が勤務後に固定されているという場合は、個人の努力だけでは限界があります。
その場合は、上司に相談したり、業務分担や記録時間の見直しを提案したりすることも必要です。
それでも改善しない場合は、今の職場にこだわりすぎず、働き方を見直すことも選択肢になります。
この記事のまとめ
・介護職で残業を断りたいと思うのは甘えではない
・断る時は、理由を簡潔に伝え、できる範囲もセットで伝える
・無断で帰らず、利用者さんに関わる情報は必ず引き継ぐ
・毎回残業が必要な職場は、業務量や人員配置に問題がある場合もある
・残業を断ると責められる職場では、相談や転職も含めて考えてよい
・自分を責めすぎず、無理なく働ける環境を選ぶことが大切
介護職は、人の生活を支える大切な仕事です。
だからといって、自分の生活や体調を犠牲にし続ける必要はありません。
残業を断ることに不安がある時は、まずは伝え方を整え、引き継ぎを丁寧に行いましょう。
それでもつらさが続く場合は、「自分が弱いから」と決めつけず、職場の働き方が自分に合っているかを見直してみることが大切です。


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