介護記録と申し送りの違いとは?新人が迷いやすい役割と伝え方の基本を解説

介護施設の記録用ノートを手前に置き、奥で静かに介助が行われる空間が広がる、記録と申し送りの役割を連想させるやわらかなイラスト 4-3.記録・申し送り

介護の仕事を始めたばかりの新人にとって、介護記録と申し送りの違いは意外と迷いやすいポイントです。

「記録にはどこまで書けばいいのか」「申し送りで何を話せばいいのか」「同じ内容を何度も伝えている気がする」と感じることもあるかもしれません。

介護記録も申し送りも、利用者さんの安全な生活を支えるために大切な業務です。
ただし、役割は同じではありません。

介護記録は、あとから確認できるように残す情報です。
申し送りは、次に関わる職員へ今必要な情報を伝えるためのものです。

この記事では、新人介護職が混乱しやすい介護記録と申し送りの違いを、役割・書き方・伝え方・注意点に分けてわかりやすく解説します。

この記事でわかること

・介護記録と申し送りの基本的な違い
・新人が混乱しやすい記録と報告の境目
・介護記録に残すべき内容
・申し送りで優先して伝えること
・伝え漏れや書き忘れを防ぐコツ
・記録と申し送りが苦手な新人が意識したいポイント

  1. 介護記録と申し送りは「目的」が違う
    1. 介護記録はあとから確認するために残すもの
    2. 申し送りは次の職員に今必要な情報を伝えるもの
    3. 同じ内容でも「残す」と「伝える」では意味が変わる
  2. 新人が迷いやすい介護記録と申し送りの境目
    1. 「記録したから伝えなくていい」とは限らない
    2. 「申し送ったから記録しなくていい」でもない
    3. 迷ったときは「安全」「変化」「継続対応」で考える
  3. 介護記録に書く内容は「事実」と「対応」が中心
    1. 介護記録では主観よりも見た事実を残す
    2. 介助内容は「何をしたか」だけでなく「どうだったか」も書く
    3. 書いてはいけない表現にも注意する
  4. 申し送りで伝える内容は「次の勤務で困ること」を優先する
    1. すべて話そうとすると大事なことが埋もれる
    2. 申し送りは「結論から」伝えるとわかりやすい
    3. 未対応のことは必ずはっきり伝える
  5. 介護記録と申し送りをつなげるとケアの質が安定しやすい
    1. 記録と申し送りがつながると情報の抜けが減る
    2. 申し送り前にメモを整理すると伝えやすい
    3. 記録と申し送りで内容がずれないようにする
  6. 新人が記録と申し送りで失敗しやすい場面
    1. 忙しさで「あとで書こう」として忘れてしまう
    2. 申し送りで自信がなくなり声が小さくなる
    3. 医療的な判断を自分だけで決めようとしてしまう
  7. 介護記録と申し送りが苦手な新人が覚えたい基本
    1. 「いつ・誰が・何を・どうした」を意識する
    2. 伝える優先順位を決める
    3. 先輩の記録と申し送りをまねて覚える
  8. まとめ:介護記録と申し送りの違いを理解すると仕事が進めやすくなる
    1. 介護記録は残す情報、申し送りは引き継ぐ情報
    2. 迷ったときは利用者さんの安全を基準に考える
    3. 苦手でも型を持てば少しずつ慣れていける

介護記録と申し送りは「目的」が違う

介護記録はあとから確認するために残すもの

介護記録は、利用者さんの状態や介助内容、変化、対応したことを文章として残す業務です。

たとえば、食事量、排泄状況、入浴時の様子、転倒リスクにつながる変化、本人の訴え、職員が行った対応などを記録します。

介護記録は、その場にいなかった職員があとから読んでも状況を確認できるようにするためのものです。
また、ケアマネジャー、看護師、相談員、家族対応、事故防止、ケア内容の見直しなどにも関わります。

つまり介護記録は、ただのメモではありません。
利用者さんの生活を継続的に支えるための情報の蓄積です。

新人のうちは「何を書けばいいかわからない」と感じやすいですが、まずは「あとから読んだ人が状況を理解できるか」を意識すると整理しやすくなります。

申し送りは次の職員に今必要な情報を伝えるもの

申し送りは、勤務交代のときなどに、次に利用者さんを担当する職員へ必要な情報を伝えることです。

たとえば、日勤から遅番、遅番から夜勤、夜勤から早番へ引き継ぐときに行われます。

申し送りでは、すべての出来事を細かく話すというより、次の勤務者が安全にケアを始めるために必要な情報を優先して伝えます。

たとえば、次のような内容です。

・いつもより食事量が少なかった
・転倒しそうな場面があった
・排泄が普段と違った
・体調不良の訴えがあった
・家族から連絡があった
・看護師や上司に確認中のことがある
・次の勤務で注意して見てほしいことがある

申し送りは、記録と違ってその場で口頭で伝えることが多いため、長すぎると伝わりにくくなります。
大切なのは、今から働く人が何に注意すればいいかをわかりやすく伝えることです。

同じ内容でも「残す」と「伝える」では意味が変わる

介護記録と申し送りでは、同じ出来事を扱うこともあります。

たとえば、利用者さんが昼食を半分しか食べなかった場合を考えてみます。

介護記録では、食事量、本人の様子、訴え、対応内容などを残します。
一方、申し送りでは「夕食時も食事量や表情を見てください」「水分摂取も少なめなので注意してください」といった、次の職員への注意点を伝えます。

出来事介護記録での役割申し送りでの役割
食事量が少ない食事量や様子を残す次の食事や水分量に注意してもらう
ふらつきがあった時間・場面・対応を記録する移動時の見守り強化を伝える
本人が痛みを訴えた訴えの内容と対応を残す継続観察や看護師確認を引き継ぐ
家族から連絡があった連絡内容を残す対応が必要な職員へ伝える

このように、介護記録は「事実を残す」役割が強く、申し送りは「次の対応につなげる」役割が強いです。

最初に押さえたい考え方

介護記録は、あとから読んで確認できる情報。
申し送りは、次の職員がすぐに動けるようにする情報です。
どちらも大切ですが、目的を分けて考えると迷いにくくなります。

新人が迷いやすい介護記録と申し送りの境目

「記録したから伝えなくていい」とは限らない

新人がよく迷うのが、「記録に書いたから申し送りしなくてもいいのではないか」という点です。

もちろん、記録に残すことは大切です。
しかし、次の職員が勤務開始時にすべての記録を細かく確認できるとは限りません。

特に、体調変化、転倒リスク、服薬後の様子、食事・水分摂取の大きな変化、排泄の異常、本人の強い訴えなどは、記録だけでなく申し送りでも伝えた方が安全です。

たとえば、入浴後にふらつきがあった利用者さんがいる場合、記録に残すだけでなく、次の勤務者へ「歩行時は見守りをお願いします」と伝えることで事故予防につながります。

記録に書いたかどうかではなく、次の職員が知らないと困るかどうかで考えると判断しやすくなります。

「申し送ったから記録しなくていい」でもない

反対に、「申し送りで伝えたから記録しなくてもいい」と考えるのも注意が必要です。

申し送りは口頭で行われることが多いため、時間が経つと内容が曖昧になることがあります。
また、その場にいなかった職員や後日確認する職員には伝わりません。

利用者さんの状態変化や対応内容は、必要に応じて介護記録にも残す必要があります。

たとえば、夜間に不穏が強く、何度も起き上がろうとした場合、夜勤者が朝の申し送りで伝えるだけでなく、記録にも残しておくことで、日中の関わり方やケアの見直しにつながります。

申し送りはその場の引き継ぎに強く、介護記録はあとからの確認に強いものです。
どちらか一方だけで済ませるのではなく、必要な情報は記録と申し送りの両方で扱うことがあります。

迷ったときは「安全」「変化」「継続対応」で考える

記録するべきか、申し送りするべきか迷ったときは、次の3つで考えると整理しやすくなります。

・利用者さんの安全に関わるか
・普段と違う変化があるか
・次の勤務者にも続けて対応してほしいか

この3つに当てはまる内容は、記録だけでなく申し送りでも伝えた方がよい場合があります。

判断の目安

□ 転倒・誤嚥・誤薬・体調悪化につながる可能性がある
□ 普段と違う行動や訴えがあった
□ 次の勤務でも観察や対応が必要
□ 看護師・上司・家族への確認が関係している
□ 口頭で伝えないと対応が遅れそう

ただし、職場によって記録様式や申し送りのルールは違います。
判断に迷う場合は、自己判断で終わらせず、リーダーや先輩職員に確認しましょう。

介護記録に書く内容は「事実」と「対応」が中心

介護記録では主観よりも見た事実を残す

介護記録を書くときに大切なのは、できるだけ見たこと、聞いたこと、行った対応を具体的に残すことです。

新人のうちは、「元気がなかった」「機嫌が悪かった」「危なかった」など、感覚的な表現になりやすいかもしれません。

しかし、記録を読む人にとっては、その表現だけでは状況がわかりにくいことがあります。

たとえば、「元気がなかった」と書くよりも、次のように書く方が伝わりやすくなります。

・朝食時、声かけに対する返答が少なかった
・普段は全量摂取されるが、本日は主食半量、副食3割程度
・「少しだるい」と本人より発言あり
・看護師へ報告し、午前中は居室で休まれる

このように書くと、読んだ人が利用者さんの状態を具体的にイメージしやすくなります。

介護記録では、自分の感想よりも、誰が読んでも同じように理解できる情報を残すことが大切です。

介助内容は「何をしたか」だけでなく「どうだったか」も書く

介護記録では、介助を実施した事実だけでなく、そのときの利用者さんの様子も大切です。

たとえば、「入浴介助実施」とだけ書くと、入浴したことはわかります。
しかし、入浴中にふらつきがあったのか、皮膚状態に変化があったのか、本人の拒否があったのかまではわかりません。

記録に残すときは、必要に応じて次のような視点を入れるとよいでしょう。

・介助中の表情や反応
・本人の訴え
・普段との違い
・できたこと、介助が必要だったこと
・皮膚状態や痛みの訴え
・実施した対応
・報告した相手

ただし、すべての介助を細かく長文で書く必要はありません。
普段通りの内容まで毎回詳しく書きすぎると、記録に時間がかかりすぎてしまいます。

大切なのは、変化があった部分、次につながる部分を中心に残すことです。

書いてはいけない表現にも注意する

介護記録では、利用者さんの尊厳に配慮した表現が必要です。

たとえば、「わがまま」「しつこい」「暴れる」「汚い」「面倒」など、職員の感情が強く出る言葉は避けるべきです。

認知症のある利用者さんが同じ話を繰り返した場合も、「何度もしつこく話す」と書くのではなく、事実に近い表現にします。

例としては、次のような書き方です。

避けたい表現記録で使いやすい表現
わがままを言う「帰りたい」と繰り返し訴えあり
暴れる介助時に手を振り払う動作あり
機嫌が悪い声かけに返答少なく、表情硬い様子
しつこい同じ内容の質問が複数回あり
汚した衣類と寝具に便付着あり

介護記録は、職員同士の感情共有ではなく、ケアに必要な情報を残すものです。
利用者さんを責めるような表現ではなく、状態や行動を客観的に書くことを意識しましょう。

記録で意識したいこと

「どう感じたか」よりも「何があったか」。
「困った人」と書くのではなく、「どの場面で、どのような行動や訴えがあったか」を残すことが大切です。

申し送りで伝える内容は「次の勤務で困ること」を優先する

すべて話そうとすると大事なことが埋もれる

申し送りが苦手な新人ほど、「全部伝えなければ」と思いすぎてしまうことがあります。

しかし、申し送りの時間は限られています。
細かい出来事をすべて話すと、本当に大切な情報が埋もれてしまう場合があります。

申し送りでは、次の職員が勤務に入った直後から必要になる情報を優先します。

たとえば、次のような内容は優先度が高いです。

・体調の変化
・転倒やふらつきなど安全面の変化
・食事や水分摂取の大きな変化
・排泄状況の異常
・服薬や受診、看護師への報告に関わること
・本人や家族からの重要な訴え
・未対応の業務や継続して見る必要があること

反対に、記録を読めば十分な内容や、次の勤務に直接影響しない細かい出来事は、申し送りで長く話さなくてもよい場合があります。

大切なのは、次の人が安全にケアを始めるために必要かどうかです。

申し送りは「結論から」伝えるとわかりやすい

申し送りで緊張すると、出来事の最初から順番に話してしまい、結局何を伝えたいのかわかりにくくなることがあります。

そのようなときは、先に結論を伝えると整理しやすくなります。

たとえば、次のような形です。

「Aさんですが、本日昼食量が少なめでした。主食半量、副食3割程度です。『だるい』との訴えがあり、看護師へ報告済みです。夕食時も食事量と表情の確認をお願いします」

このように、最初に「何が大事か」を伝えると、聞く側も理解しやすくなります。

申し送りでは、次の順番を意識すると話しやすくなります。

  1. 誰のことか
  2. 何があったか
  3. いつもと何が違うか
  4. どのように対応したか
  5. 次の勤務で何を見てほしいか

新人のうちは、うまく話そうとするよりも、この順番で落ち着いて伝えることを意識しましょう。

未対応のことは必ずはっきり伝える

申し送りで特に大切なのが、まだ終わっていないことを伝えることです。

たとえば、次のような内容です。

・看護師への確認待ち
・家族への連絡待ち
・トイレ誘導がまだ必要
・水分摂取が少ないため次勤務で確認が必要
・本人の訴えが続いている
・薬や処置に関する確認が残っている
・物品不足や環境調整が必要

未対応のことが曖昧なままだと、次の勤務者が「終わっている」と思ってしまう可能性があります。

特に、体調や薬、転倒リスク、食事・水分、排泄に関わることは、曖昧にせず伝える必要があります。

申し送りで使いやすい言い方

「〇〇は実施済みです」
「〇〇はまだ未対応です」
「〇〇について看護師へ報告済みで、返答待ちです」
「次の勤務で〇〇の確認をお願いします」
「記録にも残していますが、念のため口頭でも共有します」

申し送りでは、完璧な言葉づかいよりも、情報が正確に伝わることが大切です。
わからないことを曖昧に言い切るのではなく、「確認中です」「未確認です」と伝えることも必要です。

介護記録と申し送りをつなげるとケアの質が安定しやすい

記録と申し送りがつながると情報の抜けが減る

介護記録と申し送りは別々の業務ですが、完全に切り離すものではありません。

記録に残した内容の中から、次の勤務者に必要なものを申し送りで伝える。
申し送りで伝えた重要な内容は、必要に応じて記録にも残す。

この流れができると、情報の抜けや伝え漏れが減りやすくなります。

たとえば、利用者さんがトイレで立ち上がりそうになった場面があったとします。

記録には、時間、場所、状況、対応を残します。
申し送りでは、「本日トイレ内で立ち上がろうとする場面がありました。次回の排泄介助時も立位時の見守りをお願いします」と伝えます。

このように、記録と申し送りがつながることで、次のケアに活かしやすくなります。

申し送り前にメモを整理すると伝えやすい

新人のうちは、勤務中に起きたことを頭の中だけで覚えておこうとすると、申し送りのときに焦りやすくなります。

忙しい現場では、食事介助、排泄介助、入浴介助、ナースコール対応、記録などが重なります。
そのため、「あとで伝えよう」と思っていたことを忘れてしまうこともあります。

申し送りが苦手な人は、勤務中に簡単なメモを取っておくと安心です。

ただし、個人情報の扱いには注意が必要です。
メモの取り方や保管、廃棄方法は職場のルールに従いましょう。

メモには、次のような簡単な項目だけでも十分です。

メモする項目
利用者名Aさん
時間14時頃
出来事トイレ後ふらつきあり
対応付き添い、看護師報告
次に伝えること歩行時見守り強化

メモをそのまま読む必要はありません。
申し送り前に「これは記録だけでよいか」「これは口頭でも伝えるべきか」を整理するために使います。

記録と申し送りで内容がずれないようにする

介護記録と申し送りで内容がずれてしまうと、聞いた人や読んだ人が混乱します。

たとえば、申し送りでは「転倒しそうになった」と伝えたのに、記録では「問題なし」となっていると、どちらが正しいのかわからなくなります。

また、記録には「看護師へ報告済み」と書いているのに、実際にはまだ報告していない場合も問題になります。

記録と申し送りでは、表現の詳しさは違っても、事実が食い違わないようにすることが大切です。

新人が確認したいポイント

□ 申し送りで話す内容と記録の内容が大きくずれていないか
□ 実施済みと未対応を混同していないか
□ 報告した相手を正しく書いているか
□ 自分の推測を事実のように書いていないか
□ 不安な内容を先輩に確認してから記録しているか

不安なときは、記録を書く前や申し送り前に「この内容はどう残せばいいですか?」と先輩に確認してかまいません。
新人が確認しながら覚えるのは自然なことです。

新人が記録と申し送りで失敗しやすい場面

忙しさで「あとで書こう」として忘れてしまう

介護現場では、予定通りに業務が進まないことがあります。

ナースコールが重なったり、利用者さんの対応が続いたり、入浴や排泄介助に時間がかかったりすると、記録が後回しになることもあります。

しかし、「あとで書こう」と思っているうちに、細かい時間や状況を忘れてしまうことがあります。

特に、普段と違う様子や事故につながりそうな出来事は、時間が経つほど記憶が曖昧になります。

すぐに長文の記録ができない場合でも、必要な情報だけメモしておく、落ち着いたタイミングで早めに記録するなどの工夫が必要です。

正確な記録は、記憶が新しいうちに残す方が書きやすいです。

申し送りで自信がなくなり声が小さくなる

申し送りに慣れていない新人は、周りの先輩が聞いている場面で緊張しやすいです。

「変なことを言ったらどうしよう」「これは伝えるほどのことなのかな」と不安になり、声が小さくなったり、最後まで言い切れなかったりすることがあります。

しかし、申し送りは発表ではありません。
きれいに話すことよりも、必要な情報を伝えることが目的です。

自信がないときは、次のような言い方を使うと伝えやすくなります。

・「念のため共有します」
・「普段と違う様子があったため申し送りします」
・「判断に迷ったので、確認をお願いします」
・「記録にも残していますが、口頭でもお伝えします」

新人が迷うのは当然です。
むしろ、不安な情報を黙ってしまうより、確認しながら伝える方が安全につながります。

医療的な判断を自分だけで決めようとしてしまう

介護職は利用者さんの生活を支える専門職ですが、医療的な判断を単独で行う立場ではありません。

たとえば、発熱、血圧の変化、強い痛み、呼吸状態の違和感、意識状態の変化、服薬に関する疑問などは、自己判断せず看護師や上司へ報告・確認する必要があります。

記録や申し送りでも、「大丈夫そうでした」と曖昧に判断して終わらせるのではなく、事実と対応を分けて伝えることが大切です。

たとえば、次のように整理します。

・本人より「胸が苦しい」と訴えあり
・表情硬く、会話少なめ
・看護師へ報告
・バイタル測定は看護師対応
・以後の観察について指示あり

介護記録や申し送りでは、医療的な判断を言い切るよりも、観察した事実、報告した相手、受けた指示、実施した対応を残すことが重要です。

注意

体調変化、薬、処置、急変の可能性がある内容は、自己判断で済ませないようにしましょう。
職場の上司、看護師、必要な専門職へ確認し、記録や申し送りにも正確に残すことが大切です。

介護記録と申し送りが苦手な新人が覚えたい基本

「いつ・誰が・何を・どうした」を意識する

介護記録も申し送りも、基本は情報を整理して伝えることです。

難しく考えすぎると手が止まってしまうため、まずは次の形を意識すると書きやすく、話しやすくなります。

・いつ
・誰が
・どこで
・何をした、何があった
・どのような様子だった
・職員がどう対応した
・誰に報告した
・次に何が必要か

たとえば、申し送りなら次のように整理できます。

「15時頃、Bさんが居室内で立ち上がろうとされる場面がありました。ふらつきが見られたため付き添い対応し、看護師へ報告しています。夜間もトイレ時の立ち上がりに注意をお願いします」

このように型を持っておくと、緊張しても伝えやすくなります。

記録でも申し送りでも、最初から完璧な文章を目指す必要はありません。
まずは、必要な情報が抜けないことを優先しましょう。

伝える優先順位を決める

申し送りでは、優先順位が大切です。

すべての情報を同じ重さで話すと、聞く側が何に注意すればよいのかわかりにくくなります。

優先順位は、次のように考えると整理しやすいです。

優先度内容の例申し送りの必要性
高い転倒リスク、体調変化、誤嚥リスク、未対応事項口頭でも伝える
中程度食事量の変化、排泄状況、本人の訴え状況により伝える
低め普段通りの介助、特に変化のない様子記録中心でよい場合がある

もちろん、職場のルールや利用者さんの状態によって優先度は変わります。

たとえば、普段から食事量が少ない方にとっては大きな変化でなくても、普段は全量摂取している方が急に食べない場合は重要な情報になります。

その人にとって普段と違うかを考えることが大切です。

先輩の記録と申し送りをまねて覚える

新人が記録と申し送りを早く覚えるには、先輩のやり方を見るのが効果的です。

ただし、ただ聞き流すだけではなく、「どの情報を優先しているのか」「どのような表現で記録しているのか」を意識して見ると学びやすくなります。

たとえば、先輩の申し送りを聞くときは、次の点に注目してみましょう。

観察すると学びやすいポイント

□ どの利用者さんの情報を優先しているか
□ 体調変化をどのような順番で伝えているか
□ 記録に残した内容をどう口頭で短くしているか
□ 未対応のことをどう伝えているか
□ 判断に迷う内容を誰に確認しているか

介護記録も、職場ごとに書き方の傾向があります。
同じ施設内でも、フロアや利用者さんの状態によって必要な記録内容は変わります。

最初は自分だけで正解を探そうとせず、「この書き方で大丈夫ですか?」と確認しながら慣れていきましょう。

まとめ:介護記録と申し送りの違いを理解すると仕事が進めやすくなる

介護記録は残す情報、申し送りは引き継ぐ情報

介護記録と申し送りは、どちらも介護現場に欠かせない情報共有です。

ただし、役割には違いがあります。

介護記録は、あとから確認できるように残す情報です。
申し送りは、次の職員がすぐに安全なケアを行えるように引き継ぐ情報です。

この違いを理解すると、「何を書けばいいのか」「何を口頭で伝えればいいのか」が整理しやすくなります。

新人のうちは迷うのが普通です。
大切なのは、利用者さんの安全や生活に関わる情報を、必要な人へ正しくつなげる意識です。

迷ったときは利用者さんの安全を基準に考える

介護記録に書くか、申し送りで伝えるか迷ったときは、利用者さんの安全に関わるかを考えましょう。

特に、体調変化、転倒リスク、食事・水分摂取の変化、排泄状況、本人の訴え、未対応の業務などは、記録と申し送りの両方で扱うことがあります。

「これくらいなら言わなくていいか」と迷う場合でも、あとから事故や対応漏れにつながる可能性がある内容は、先輩や上司に確認することが大切です。

記録や申し送りは、職員を責めるためのものではありません。
利用者さんの状態をチームで共有し、同じ方向でケアを行うためのものです。

苦手でも型を持てば少しずつ慣れていける

介護記録や申し送りが苦手でも、最初からうまくできないのは自然なことです。

「いつ、誰が、何を、どうした」「どう対応した」「次に何が必要か」という型を意識するだけでも、情報は整理しやすくなります。

また、先輩の記録や申し送りを参考にしながら、自分の職場で求められる書き方・伝え方を覚えていくことも大切です。

この記事のまとめ

・介護記録は、あとから確認できるように残す情報
・申し送りは、次の職員が安全にケアを始めるための引き継ぎ
・記録しただけで伝えなくてよいとは限らない
・申し送った内容も、必要に応じて記録に残す
・迷ったときは「安全」「変化」「継続対応」を基準に考える
・新人は自己判断せず、先輩や看護師に確認しながら慣れていけばよい

介護記録と申し送りの違いがわかると、日々の業務で何を優先すればよいか見えやすくなります。

完璧に話すことや、きれいな文章を書くことだけが目的ではありません。
利用者さんの状態を正しく共有し、次のケアにつなげることが一番大切です。

焦らず、確認しながら、少しずつ自分の言葉で記録と申し送りができるようになっていきましょう。

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